2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルキニルプロパルギルスルホンの熱反応によるチオケテンS,S-ジオキシドの発生
Project/Area Number |
11750740
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青柳 重信 岩手大学, 工学部, 助手 (90271840)
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Keywords | アレニルチオケテンS,S-ジオキシド / アルキニルプロパルギルスルホン / [3,3]シグマトロピー転位 / アルキニルアレン / ビニリデンカルベン |
Research Abstract |
アルキニルプロパルギルスルホンの熱反応によるアレニルチオケテンS,S-ジオキシドの発生を目的として以下の検討を行った。トルエン還流条件下、両末端に置換基を有するアルキニルプロパルギルスルホンの熱反応を行ったところアルキニルアレンが中程度の収率で得られた。生成機構は次のように考えられる。まずアルキニルプロパルギルスルホンの[3,3]シグマトロピー転位によりアレニルチオケテンS,S-ジオキシドが生じた後、脱SO_2によりビニリデンカルベンが発生、さらにアルキニル側の置換基の1,2-シフトを経てアルキニルアレンが生成したと考えられる。一方、アルキニル側の末端が水素の場合、溶媒のトルエンと反応後脱SOを経て生じたと考えられる2-メチル-5-トリルフランが得られた。そこで溶媒を1,2-ジクロロエタンとしトリエチルシランを捕捉剤として熱反応を行ったところビニリデンカルベンの捕捉生成物1,2,4-ペンタトリエンが得られた。またアリルトリメチルシランを捕捉剤とした場合、系中で発生したアレニルチオケテンS,S-ジオキシドのスルフェン部分との[2+2]付加生成物が得られた。次に2級アミンを捕捉剤としてアルキニルプロパルギルスルホンの熱反応を行ったところ反応は0℃で速やかに完結し、アレニルチオケテンS,S-ジオキシドの捕捉生成物と考えられる1-アミノスルホニル-4-メチレンシクロブテンまたは5-アミノ-2H-チオピランS,S-ジオキシドが得られた。これら生成物の選択性は基質のスルホンの置換基のかさ高さおよび添加した2級アミンの求核性に依存した。以上、アルキニルプロパルギルスルホンの熱反応によるアレニルチオケテンS,S-ジオキシドの発生に成功しこれに由来する化合物を単離することによりその生成経路を解明した。
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