1999 Fiscal Year Annual Research Report
"フッ素-水素"水素結合を鍵結合部位とする水素結合性超分子複合体の構築と機能化
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11750741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蟹江 澄志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60302767)
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Keywords | 非共有結合 / 液晶 / イオン-双極子相互作用 / 有機フッ素化合物 / スメクチック相 / フッ素系液晶材料 / 自己組織化 |
Research Abstract |
含フッ素化合物はしばしば分子内あるいは分子間で水素結合を形成する。本研究では、フッ素置換ベンゼンの水素結合性に着目し、"フッ素-水素"水素結合あるいは"フッ素-金属"配位結合を鍵結合部位として有する超分子複合体の構築およびその機能化をおこなうことを目的とする。 オリゴオキシエチレン鎖を有するフッ素系液晶のリチウム塩との複合化によるスメクチック相の熱的安定化 フッ素とリチウム塩との相互作用は、近年、有機合成化学・有機錯体化学・計算化学の分野でその存在が提唱されつつある。研究者は、フッ素とリチウム塩とが相互作用しうる材料のデザイン・合成をおこない、その諸物性変化としてフッ素-リチウム相互作用をとらえることを目的としている。有機分子とリチウム塩との相互作用発現のためには相溶性を高めることが必須である。また、液晶分子は動的性質を有し、相構造変化の評価が容易であることから、材料諸物性の変化をとらえやすい。そこで、研究者は、オキシエチレン鎖を有するフッ素系液晶をデザイン・合成した。得られた化合物にトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを混合し、複合体の液晶相転移挙動を対応するフッ素無置換体と比較した。その結果、フッ素置換体は無置換体に比べ、スメクチックA相を示す温度範囲が大幅に広がった。このような変化の要因を調べるため、^<19>F-NMR測定をおこなったところ、リチウム塩との複合化により、ピークが高磁場シフトすることがわかった。フッ素-リチウム相互作用によるものと考察できる。このことから、フッ素-リチウムおよび酸素-リチウム相互作用が協調的に作用することにより、スメクチックA相の熱的安定性が上昇したと推察した。現在、分光学的手法によりさらなる評価をおこなっている段階である。
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