1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規な複核ヒドリド錯体触媒の開発とそれを用いるC-H結合活性化に関する研究
Project/Area Number |
11750745
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高谷 光 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (50304035)
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Keywords | C-H結合活性化 / 複核錯体 / ヒドリド錯体 / PN配位子 / イリジウム / ロジウム / ルイス酸 / 塩基 |
Research Abstract |
申請者らは既にイリジウム、ロジウムおよびルテニウムなどの8族のヒドリド錯体がルイス酸および塩基両方の機能を有する優れた複合型触媒となることを見い出している。申請者はこの様なヒドリド錯体の機能を、触媒活性点上において相補的かつ協同的に発現することができる新しい2核ヒドリド錯触媒の開発と、それらを用いた触媒反応の開拓を目的とした研究を行った。 申請者は2核錯体を構築するためにホスフィノエタンアミン部分を回転自由度の高いメチレンスペーサーで結合した新しい4座配位子3,5-Diphenyl-3,5-diphospaheptane-1,7-diamine(1)を設計し、その合成を行なった。その結果、リンおよび窒素原子を配位部位として有する新規なPN4配位子1をmeso(RS)/racemic(RS/SR)混合物として得ることに成功した。 さらに、申請者は得られた配位子1をトリエチルアミンの存在下にイリジウムおよびロジウムのクロロ錯体[(C_5Me_5)_2MCl_2]_2(M=Ir,Rh)と反応させることにより、対応する2核イリジウムクロロ錯体およびロジウムクロロ錯体が得られることを明らかにした。単結晶X線結晶解析による分析の結果、得られた2核錯体はリン原子と窒素原子が一つの金属に架橋配位(PN架橋配位)した単核錯体がメチレンスペーサーによって繋がれた構造を有する2核錯体を形成していることが明らかとなった。また、申請者は得られた2核クロロ錯体をメタノール中で水酸化カリウムと反応させることにより目的とする2核ヒドリド錯体が得られることを見出した。
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