1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアセチレン配位子を有する新規有機金属錯体の合成と機能
Project/Area Number |
11750747
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
堤 健 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00304163)
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Keywords | ペンタジイニル / パラジウム錯体 / 白金錯体 |
Research Abstract |
ポリアセチレン(ポリイニル)配位子を有する有機金属錯体は、その特異な構造及び反応性から、有機合成反応の触媒活性種や機能性有機金属材料の前駆体として近年注目されている。本研究は、新規ポリアセチレンパラジウム及び白金錯体を合成し、その機能及び構造、反応性を解明することを目的とする。 本研究者は、ペンタジイニル配位子を有する単核パラジウム、白金錯体、カチオン性単核パラジウム、白金錯体、及び二核パラジウム錯体を合成し、それぞれの錯体の性質について検討した。 η^1-ペンタジイニル単核錯体は、溶液中でη^1-アレニル-モノイニル錯体と平衡関係にあることが見出された。それぞれの錯体への異性化は、金属が配位子上を1,3-移動したと見なせる。しかし、クムレン型への異性化(1,5-移動)は確認できなかった。なおη^1-アレニル-モノイニルパラジウム錯体については、X線結晶構造解析により、その特異な構造を明らかにした。 カチオン性η^3-ペンタジイニル単核パラジウム、及び白金錯体は、求核剤(ROH、HNR_2、PPH^3)に対し非常に高い反応性を示した。これはジイニル配位子を用いることにより、金属にη^3-配位している炭素周りの立体的混み合いが軽減されるため、求核剤が攻撃し易くなっているものと考えられる。 ペンタジイニルハライドに対し、パラジウム、トリフェニルホスフィンをそれぞれ10mol%ずつ反応させたところ、単核錯体は得られず二核錯体のみが選択的に生成した。これは基質に対し触媒量のパラジウム、トリフェニルホスフィンを用いても二核錯体のみ生成することを示しているため、二核錯体を反応活性種とする新規触媒反応への応用が期待できる。
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[Publications] Ken Tsutsumi: "Synthesis and Characterization of Some Cationic η^3-Proparagylpalladium Complexes"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 72. 2687-2692 (1999)
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[Publications] Ken Tsutsumi: "Cross-Coupling reactrons proceeding through η^1-and η^3-propargyl/allenylpallaclium(II) intermediates"Imorganica Climica Acta. 296. 37-44 (1999)