2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750750
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木原 伸浩 大阪府立大学, 光学研究科, 助教授 (30214852)
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Keywords | ロタキサン / 不斉反応場 / 光学分割 / 光学活性クラウンエーテル / 末端封鎖 / 回転不斉 / ジヒドロニコチンアミド / 酸化還元 |
Research Abstract |
ロタキサン上では各コンポーネントが共有結合を介さずに空間的に結び付けられている。ロタキサン上の不斉は空間を通じて伝達され、従来の不斉反応場では実現不可能な高度の不斉空間を作る可能性がある。本研究では、不斉ロタキサンの合成・光学分割と、ロタキサン上での反応場の構築について検討した。光学活性ビナフトールから得られる光学活性クラウンエーテルを輪コンポーネントとして用い、既に開発したアシル化による末端封鎖法を用いて高収率で光学活性ロタキサンを合成した。一方、ロタキサンの輪コンポーネントが何か一つ置換基を持つと、輪の方向と軸の方向との関係により回転不斉が生じる。クラウンエーテルを選択的にモノニトロ化した後、還元してアシル化することにより、アミド基を一つ持つクラウンエーテルを得た。これを輪コンポーネントとして回転不斉を持つロタキサンを合成した。キラルカラムを用いた光学分割によって、部分的にではあるが光学分割することができた。これらロタキサンに反応性官能基を導入する前に、ロタキサン上に構築された反応場の特性を調べるために、不斉を持たない単純なロタキサンへの反応性官能基の導入とその反応について検討した。ロタキサンをニコチン酸クロリドでアシル化することにより、ニコチン酸アミド構造を持つロタキサンを得、これをアルキル化し、次いで還元することで、還元反応性を示すジヒドロニコチン酸アミド構造を持つロタキサンを得た。このロタキサンを用い、過塩素酸マグネシウム存在下にケトンの還元反応を検討したところ、30%の収率で対応するアルコールが得られた。この時ロタキサン自体は完全に酸化されており、ロタキサン構造を取ることでジヒドロニコチン酸アミドの反応性が異常に亢進されている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nobuhhiro Kihara: "Unusually Lowered Acidity of Ammonium Group Surrounded by Crown Ether in a Rotaxane System and Its Acylative Neutralization"Chem.Lett.. (5). 506-507 (2000)
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[Publications] Yuya Tachibana: "Rotaxanes Functionalized by Chirality : Novel Rotaxanes Consisting of Binaphthol-based Chiral Crown Ether"Chem.Lett.. (7). 806-807 (2000)
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[Publications] Yoshio Furusho: "Chemical Modification of Amide-Based Catenanes and Rotaxanes I."Bull.Chem.Soc.Jpn.. 74(1). 139-147 (2001)
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[Publications] Nobuhiro Watanabe: "Chemical Modification of Amide-Based Catenanes and Rotaxanes II."Bull.Chem.Soc.Jpn.. 74(1). 149-155 (2001)
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[Publications] 木原伸浩: "水素結合を利用したインターロックト分子の高効率合成-ロタキサンおよびカテナン合成の最近の進歩-"有機合成化学協会誌. 59(3)(印刷中). (2001)
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[Publications] Toshikazu Takata: "Rotaxanes Synthesized From Crown Ethers and sec-Ammonium Salts"J.Heteroatom Rev.. (印刷中). (2001)