2000 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖型高分子キレート配位子の分子設計に基づく新規高分子錯体触媒の開発
Project/Area Number |
11750760
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神原 貴樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (90204809)
|
Keywords | 重縮合 / パラジウム錯体触媒 / ポリホスフィン / 炭素-リン結合生成 / キレート配位子 / 高分子錯体 / 高分子触媒 / 再生利用 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果に基づいて、パラジウム錯体を触媒として用いる炭素-リン結合生成反応を種々の二官能性のジョードアリールとジホスフィンをモノマーとする重縮合反応に適用し、ポリマー主鎖中にキレート配位子骨格を有するいくつかのポリアリーレンジホスフィンを合成した。さらに、得られたポリマーとPd,Ptを反応させ、主鎖型高分子錯体を調製した。得られた高分子錯体と低分子モデル錯体との比較から、上記ポリマーはそのほとんどのキレート部位でシス型錯体を形成しており、その配位構造は低分子モデル錯体とほとんど同一であることが明らかとなった。 得られた高分子Pd錯体は非プロトン性極性溶媒には可溶であり、極性の低い溶媒やメタノール・水等には不溶であった。そこで、この高分子錯体を触媒として用い、炭素-炭素結合生成反応(園頭反応)、CO挿入反応等における触媒特性を検討した。その結果、この高分子錯体の溶解する均一系反応条件では、低分子モデル錯体とほとんど同じ触媒特性を示すことがわかった。反応後、この溶液をトルエン・アセトニトリル等に滴下することにより高分子触媒は析出し、容易に分離回収された。さらに、回収した高分子触媒は再度触媒反応に利用することが可能であり、リサイクル可能な触媒として機能することが示唆された。また、反応・分離回収後の濾液からはPdはほとんど検出されず、高分子錯体からの金属の遊離はほとんど無視できることがわかった。一方、高分子錯体が溶解しない溶媒中での反応では、反応速度は遅くなるものの長時間の反応により高収率で生成物が得られ、固-液不均一系反応においても触媒機能を示すことが確認された。
|
Research Products
(1 results)