1999 Fiscal Year Annual Research Report
炭素ーホウ素結合および関連共有結合の活性化に基づく精密制御重合系の開発
Project/Area Number |
11750765
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00273475)
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Keywords | 遷移金属錯体 / ホウ素化合物 / リビング重合 / 配位重合 / ロジウム錯体 / カテコールボラン / スチレン誘導体 / 精密制御重合 |
Research Abstract |
本研究は、カテコールボランのようなホウ素化合物とロジウム錯体を用いてスチレンなどオレフィン類の重合を検討し、炭素-ホウ素結合の活性化に基づく精密制御重合系の開発を行うことを目的としている。 本年度は、まず、カテコールボランにロジウム錯体〔(1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)(1,5-シクロオクタジエン)ロジウムテトラフルオロホウ酸塩〕を組み合わせて、p-メトキシスチレンの重合を、塩化メチレン中、少量のTHF存在下、30℃および60℃で検討した。いずれの場合も重合が進行し、生成ポリマーの分子量は重合率と共に増加し、カテコールボラン1分子から1分子のポリマーが生成すると仮定した計算値に近いものとなった。ポリマーのGPC曲線は分子量分布がやや広いものの(M_w/M_n〜2.0)、単峰性を保ったまま高分子量側にシフトした。これらのことより、カテコールボランとロジウム錯体を組み合わせた開始剤系により、p-メトシスチレンの重合がリビング的に進行することが示された。 さらに、これらの濃度を変化させて重合を行ったところ、ロジウム錯体濃度の増加に伴い重合加速した。ポリマーの分子量はロジウム錯体濃度にはほとんど依存せず、カテコールボランの濃度に大きく依存し、カテコールボラン1分子から1分子のポリマーが生成すると仮定した計算値に近くなった。同様な重合は、カテコールボランとp-メトキシスチレンの付加体をカテコールボランの代わりに用いても可能であった。また、種々のホスフィンを添加して重合を行うと、ホスフィンの種類と濃度によって重合速度が変化し、多量のホスフィン存在下では重合が進行しなかった。これらの結果より、カテコールボランから生成した炭素-ホウ素結合にロジウム錯体が作用し、重合が進行していると考えられる。
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Research Products
(2 results)