2000 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-ホウ素結合および関連共有結合の活性化に基づく精密制御重合系の開発
Project/Area Number |
11750765
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00273475)
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Keywords | 遷移金属錯体 / ホウ素化合物 / リビング重合 / 配位重合 / ロジウム錯体 / カテコールボラン / スチレン誘導体 / 精密制御重合 |
Research Abstract |
本研究は、カテコールボランのようなホウ素化合物とロジウムなどの遷移金属錯体を用いて種々のビニルモノマーの重合を検討し、炭素-ホウ素結合の活性化に基づく精密制御重合系の開発を行うことを目的としている。 本年度はます、昨年度の結果に基づき、さらにp-メトキシスチレンの重合を種々のホウ素化合物と遷移金属錯体を用いて検討した。ホウ素化合物としては、種々の置換基を有するカテコールボラン誘導体やピナコールボラン、9-BBNなどが有効であり、これらにより得られたポリマーのMALDI-TOF-MS解析を行った結果、ホウ素化合物がポリマーの末端に存在することが示された。また遷移金属錯体としては、ロジウム錯体以外にもパラジウム錯体を用いても重合が進行し、特に、カチオン錯体の活性が高いことが明らかとなった。キラルホスフィン配位子を有するロジウム錯体を用いても同様な重合が進行したが、生成ポリマーの立体規則性には大きな違いが見られなかった。 他のモノマーの重合を検討した結果、p-クロロメチルスチレン、N-ビニルカルバゾール、イソブチルビニルエーテルの重合が進行し、前二者の重合において分子量の制御が可能であった。しかし、スチレンやエチレンなど通常の配位重合では重合するが極性基を持たないモノマーや、電子豊富な二重結合を持たないモノマーの重合は進行しなかった。一方、p-クロロメチルスチレンとスチレンの共重合では、p-クロロメチルスチレンのみ消費され、またクロロメチル基から重合は開始しないことなど、通常のカチオン共重合挙動とは異なることから、カチオン重合機構の可能性は低いことがわかった。 以上の結果より、この重合は、ホウ素化合物が開始剤として働きポリマー鎖を生成し、生長反応は遷移金属錯体にモノマーが配位する機構で進行することが示された。
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Research Products
(2 results)