1999 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性材料としての多糖誘導体/脂肪族ポリエステル系ブレンドの設計と特性解析
Project/Area Number |
11750771
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮下 美晴 東京農工大学, 工学部, 助手 (00293259)
|
Keywords | セルロースエステル / 脂肪族ポリエステル / ポリ(ε-カプラクトン) / ポリマーブレンド / 相溶性 / 置換度 / 生分解性 |
Research Abstract |
セルロースアルキルエステル誘導体と代表的な脂肪族ポリエステルであるポリ(ε-カプラクトン)(PCL)とのブレンドを作製し,相溶性に及ぼすセルロースエステルの置換基ならびに置換度の効果について調べた.得られた主な知見は以下のようである. ジメチルアセトアミド-塩化リチウムを溶媒とする均一系にて種々の側鎖長を有するセルロースエステル誘導体[cellulose-OCOC_nH_<2n+1>][エステル側鎖長N=(n+1)=2〜7]を合成し,ポリマー混合溶液からのキャスト法によってPCLとのブレンドを作製した.得られたブレンドの相溶性をDSC熱分析により評価したところ,側鎖にブチリル基(N=4),バレリル基(N=5)を有するセルロースブチレート,セルロースバリレートを用いたブレンドは単一のTgを与え,また組成に応じた明確なTgシフトを示し,これらがPCLに対して最もよく相溶することがわかった.エステル側鎖長がこれらより短い場合(N=2,3)は非相溶となり,反対に側鎖長が長い場合(N=6,7)でも部分相溶でしかない.但しこの評価は置換度(DS)が概ね2以上の,高置換度セルロースエステルを用いた際の結果であり,DSが低くなる(DS<1.5)とセルロースブチレート,セルロースバリレートであってもPCLとは非相溶となることがわかった. また,上記に加え,キチン誘導体の分子複合体へ本研究を展開するための準備として,キチンおよび部分脱アルセチル化キチンと種々の親水性ポリマーとのブレンドを作製し,その相溶性や分子間相互作用について評価検討した.
|
-
[Publications] 西尾嘉之: "天然高分子との合成高分子の複合化"ペトロテック. 22. 292-297 (1999)
-
[Publications] 宮下 美晴: "コラーゲンならびにキトサンとポリビニルアルコールとのブレンド膜の熱的性質と膨潤力学挙動:グルタルアルデヒド架橋の効果"線維学会誌. 55・6. 254-260 (1999)
-
[Publications] Yoshiyuki Nishio: "Water-Soluble Polymer Blends with Partially Deacetylated Chitin: A Miscibility Characterization"Journal of Polymer Science: Part B: Polymer Physics. 37. 1533-1538 (1999)