1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750775
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木 重樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30293046)
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Keywords | ^<17>O-NMR法 / PVAゲル / 水の構造 / 化学シフト / スピン-格子緩和時間 |
Research Abstract |
本研究では、核の周りの電子構造変化に敏感であり、また純粋に水の信号を観察することのできる^<17>O-NMR法に注目し、従来の研究とは異なる視点から反復凍結融解法により調整したポリ(ビニルアルコール)(PVA)ゲル中の水の構造を解明することを目的とした。調製段階においてPVAゲルの^<17>O-NMRスペクトルを測定したところ、ゲル中の水の信号は凍結回数と共に低磁場側へシフトした。ピークの化学シフト変化について議論するために、ab initio MO calculationを用いて種々のモデル(水分子2個が水素結合したモデルや2-propanolに水分子が水素結合したモデル)の化学シフトシュミレーションを行った。この理論計算から、調製時の水の信号の低磁場シフトは水分子間および水分子と水酸基との間の水素結合が増加したことに起因することが示唆された。また、^<17>Oスピン-格子緩和時間の測定から、凍結回数の増加と共にゲル中の水の運動性が低下することが分かった。 さらにゲル化とネットワークサイズとの関係を調べるために、ネットワークサイズをコントロールしやすい化学架橋ゲルに注目した。異なる架橋度を持ついくつかの化学架橋PVAゲルを合成し、ゲル中の水の^<17>O-NMRスペクトルを測定したところ、架橋度が高くなるに従い、ゲル中の水の^<17>O化学シフトは低磁場側へシフトした。本研究の量子化学計算の結果から、この低磁場シフトは架橋度の高いゲルほどその中の水分子が高い水素結合ネットワークを形成していることによると考えられた。また^<17>Oスピン-格子緩和時間の測定からか強度の高いゲル中の水ほど運動性が低いことが分かった。
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[Publications] Y.Machida,S.Kuroki,M.Kanekiyo,M.Kobayashi,I.Ando,S.Amiya: "Structural study of water in Poly (Vinyl Alcohol) Gel by ^<17>O-NMR Method"Reports on Progress in Poilmer Physics in Japan. 42. 75-78 (1999)
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[Publications] Y.Machida,S.Kuroki,M.Kanekiyo,M.Kobayashi,I.Ando,S.Amiya: "A Structural Study of Water in a Poly (Vinyl alcohol) Gel by ^<17>O-NMR Spectroscopy"Journal of Molecular Structure. (in press). (2000)
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[Publications] H.Yamakawa,S.Matsukawa,H.Kurosu,S.Kuroki,I.Ando: "Diffusional behavior of nalkanes in the rotator phase as studied by pulse field-gradient spin-echo HNHR method"The Journal of Chemical Physics. 111 15. 7110-7115 (1999)
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[Publications] C.Zhao,H.Zhang,T.Yamanobe,S.Kuroki,I.Ando: "Diffusional Behavior of Solvent in Dolypeptide Liquid Crystalline and Gel States with High Oriented Chains As Studied by NMR Spectroscopy"Macromolecules. 32. 3389-3395 (1999)
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[Publications] S.Matsukawa,H.Yasunaga,C.Zhao S.Kuroki,H.Kurosu,I.Ando: "Diffusional processes in Polymer gels as studied by Pulsefield-gradient spin-echo NMR spectroscopy"PROGRESS IN POLYMER SCIENCE. 24・7. 995-1044 (1999)