1999 Fiscal Year Annual Research Report
ククモウイルス属ウイルスの複製酵素成分の種間相互作用機構の解明
Project/Area Number |
11760032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 匡 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40282694)
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Keywords | 複製酵素 / ククモウイルス / シュードリコンビナント |
Research Abstract |
ククモウイルス属ウイルスはRNA1,RNA2,RNA3の3分節ゲノムを持ち、RNA1,RNA2が複製酵素成分をコードしており、RNA3はコートタンパク質と移行タンパク質をコードしている。2種のククモウイルス、キュウリモザイクウイルス(CMV)とトマトアスパーミィウイルス(TAV)の間のシュードリコンビナント実験で、CMV RNA2+3とTAV RNA1+2を混合接種した場合、子孫ウイルスではTAV RNA1+CMV RNA2+CMV RNA3となり、複製酵素成分の種間雑種が生ずることは既に報告した。 本年度は、種間雑種複製酵素が認識する3'末端構造について解析を行った。上記シュードリコンビナント、あるいはTAV RNA1+2とCMV RNA3とのシュードリコンビナントをNicotiana benthamianaに感染させ、そこから回収したそれぞれのRNA3の3'末端非翻訳領域(3'NCR)について解析した。その結果、いずれの場合にもCMV RNA3の3'NCRがTAV RNAの3'NCRに組換わった分子が認められ、ウイルスゲノム間の組換えがかなりの頻度で起こることが示唆され、特に複製酵素成分の雑種は、高頻度で複製の際の鋳型の乗り換えを起こすことが示唆された。それら3'NCRの組換えは、CMVとTAVの相同領域での組換えよりも非相同領域での組換えの例が多数を占め、その際、TAV RNAの3'NCRに存在する約20塩基のインターナルプロモーター様配列が重要であることが示され、ククモウイルスでの3'NCR組換えには特異性があることが示唆された。
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