2000 Fiscal Year Annual Research Report
トマトモザイクウイルスの移行蛋白質と結合する宿主側蛋白質遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
11760033
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松下 保彦 東京農工大学, 遺伝子実験施設, 助手 (40291348)
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Keywords | 植物ウイルス / 移行蛋白質 / 宿主因子 / 転写コアクティベーター / 分子生物学 / 形質転換植物 / ウイルス抵抗性 |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルス(ToMV)の移行蛋白質をプローブとしてアブラナ科植物由来の発現cDNAライブラリーの検索し、移行蛋白質と結合する6種類の陽性クローンを得た。各クローンの塩基配列と精製蛋白質の分子量を解析した結果、そのうちの3種類のクローン(MIP102,MIP105,MIP106)が目的のクローンであると思われた。MIP105とMIP106の産物は、シロイヌナズナの機能未知の蛋白質と類似しており、MIP102の産物は、シロイヌナズナで報告されている転写コアクティベーターとアミノ酸レベルで75%一致していた。3種のうち、MIP102は、移行蛋白質と最も強い結合を示し、ToMVだけでなくキュウリモザイクウイルス(CMV)のような他の植物ウイルスの移行蛋白質とも結合した。このことから、MIP102は「宿主植物に限らず植物間で保存されていて移行蛋白質と結合する蛋白質」であると期待される。「移行蛋白質と結合する宿主特異性に関与する蛋白質」も含めてクローンを得るために、宿主植物のタバコから発現cDNAライブラリーを作成し、同様の検索を行った。その結果、1つの候補クローン(MIP204)を得た。構造解析から、MIP204の産物は、シロイヌナズナの機能未知の蛋白質とアミノ酸レベルで82%、酵母や昆虫の転写コアクティベーターと40%程度一致していることがわかった。MIP204は、CMVのような他の植物ウイルスの移行蛋白質とは結合しないことから、「移行蛋白質と結合する宿主特異性に関与する蛋白質」である可能性が示唆された。また、移行蛋白質と最も強い結合を示したMIP102を、GFPをレポーターにもつToMVと共に、パーティクルガン法によりタバコに導入した場合、GFPの蛍光は、複数細胞に拡がらず1細胞に留まっている傾向がみられた。このことから、MIP102を利用して、その移行蛋白質結合部位を過剰発現する形質転換植物を作出すれば、ウイルスの宿主細胞間移行を阻害し、植物にウイルス抵抗性を付与できると期待される。現在までに、MIP102を過剰発現する形質転換タバコを数十個体作出したので、今後は、ウイルス抵抗性を示すかどうかを解析する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuhiko MATSUSHITA: "In Vitro phosphorylation of the movement protein of tomato mosaic tobamovirus by a cellular kinase."Journal of General Virology. 81. 2095-2102 (2000)
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[Publications] Yasuhiko MATSUSHITA: "cDNA cloning for host factors that interact with the movement protein of plant RNA virus."PSJ Plant-Microbe Interactions Symposium Reports (ISSN 1345-8086). 36. 132-139 (2000)