1999 Fiscal Year Annual Research Report
カイコガ絹糸腺における発生分子マーカーの作出とその動態
Project/Area Number |
11760039
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
長岡 純治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (00303933)
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Keywords | カイコガ / 絹糸腺 / 変態 / 分子マーカー / ペプチドマップ / 遺伝子 / カテプシンL / β-fructofuranosidase |
Research Abstract |
発生段階特異的なカイコガ絹糸腺タンパク質の変化は昆虫ホルモンによる分子制御を理解する上で好適な系と言える. 1.後部絹糸腺組織タンパク質のベプチドマップの作成 後部絹糸腺をキレート剤(EDTA)の有無と数種の界面活性剤(Triton X100,デオキシコール酸,SDS)の組み合わせ使用によって,効率よく,多数の組織タンパク質を分画することが可能となった.発生段階に従い検討したところ幼虫変態後期のみに少なくとも4種類が一時期的に消失し,1種類が出現することが判った. 2.幼虫変態期特異的に発現変化する遺伝子の探索 2.1カテプシンL様遺伝子(フィブロイナーゼ)フィブロイナーゼの部分アミノ酸配列を決定し,その配列を元にcDNAクローニングを行った.後部絹糸腺におけるフィブロイナーゼ活性は変態期中期に極大値をとるが,ノーザン解析では幼虫変態前期に強い遺伝子発現が認められ,以後,急激に発現は認められなくなった.本酵素の活性発現には翻訳および翻訳後の調節が存在しているものと考えられた. さらに蛹変態後の後部絹糸腺や吐糸開始期の脂肪体,中腸において特異的にこの遺伝子の強い発現が見出された. 2.2β-fructofranosidase相同遺伝子 絹糸にはショ糖分解酵素が存在しており,カイコ中腸組織に存在するショ糖分解酵素はβ-fructofranosidaseであることが知られている.そこで,酵母のβ-fructofranosidaseすなわちインベルターゼに相同性を持つ遺伝子を探索したところ,アミノ酸レベルで約50%の相同性をもつ配列がカイコガ中腸cDNA由来のESTに認められた.そこで中腸mRNAをもとにcDNAクローニングを行った.後部絹糸腺における発現をノーザン解析したところ幼虫変態直後(5齢脱皮直後)にのみに強い発現が認められた.
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