1999 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ非休眠卵胚子発生初期に発現するRNAヘリケース様遺伝子の構造解析
Project/Area Number |
11760040
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
澤田 博司 北里大学, 一般教育(基礎科学センター), 助手 (60196326)
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Keywords | 休眠 / 非休眠 / カイコ / RNAヘリケース / CBP / CREB / ディファレンシャルディスプレー |
Research Abstract |
農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所(長野県松本市)の設備を使用し、大造(松村)を一蛾育により遺伝的背景を均一にし、その越年卵を休眠催青及び低温暗催青を行い休眠卵、非休眠卵を得る事に成功した。得られたそれぞれの卵(産下後約24時間目)よりRNAを調整しランダム12merプライマーを単独で用いRT-PCRによるディファレンシャルディスプレーを行った。その結果、いくつかの興味あるバンドを確認した。その内の休眠卵特異的と思われたPCR断片の塩基配列を解析したところ534bp全てがアミノ酸に置換された。ホモロジー検索を行ったところRNAのスプライシングに関与するRNAhelicaseと相同性が認められた。休眠・非休眠卵での産下後60時間目まで12時間おきに、その遺伝子の発現をノーザンブロットにより解析したところ、非休眠卵産下直後に強いシグナルが認められた。更に、PCRによりその遺伝子断片の発現を詳細に解析したところ、非休眠卵は産下直後から60時間目まで全て、休眠卵は産下直後から12時間目まで特異的バンドが認められた。一方、ゲノムサザン解析を行ったところ、ゲノム中にシングルコピーで存在する可能性を強く示唆する結果が得られた。 最近、RNAヘリケースA(RHA)は、CBPがCREBとコアRNAポリメラーゼIIとのコアクチベーターとして機能する際の仲介役として重要な役割を担っていることが報告されている。今回見いだしたRNAヘリケース様遺伝子断片もRHA同様NTP結合ドメインやヘリケースモチーフなどと相同性がある配列が認められるのでカイコの胚子発生初期において重要な役割を持つ可能性が大きいと考えられる。現在、本遺伝子の完全長cDNAクローニングのため非休眠卵産下直後のmRNAよりλZapによるcDNAライブラリーを構築しスクリーニングを行っている。
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