1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムイオンによる根の伸長阻害のターゲット部位の特定
Project/Area Number |
11760041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横田 聡 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60220555)
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Keywords | アルミニウム / 酸性土壌 / 根 / 細胞壁 |
Research Abstract |
本研究では、酸性土壌の主要ストレス因子であるアルミニウムイオンの毒性による根の伸長阻害のターゲットを細胞レベルで明らかにすることを目的としている。アルミニウムイオンは植物細胞の細胞壁に高い親和性を有し、そのことにより細胞壁の正常な伸長がアルミニウムイオンにより阻害されると推測されている。しかし現時点では、in vivoでの細胞壁成分とアルミニウムイオンとの結合体などの直接的な証拠は見つかっていない。またアルミニウムイオンは、微量でも細胞の伸長を強く阻害し、実際の土壌など環境レベルに近いアルミニウムイオン濃度での実験においては細胞に分布したアルミニウムをin vivoで捕らえるのは手法的に困難である。 そこで、まず、個々の細胞のアルミニウムイオンストレス下での伸長の過程を細胞形態に着目して連続的に追跡することによって、間接的にアルミニウムイオンの影響を知ることを試みた。そのためには、個々の細胞レベルでの連続観察が可能なビデオマイクロスコープを採用し、植物体を垂直に保ったまま、根の表面の細胞の身長をモニターした。この際、細胞の形態を明確に観察し、かつ細胞のviabilityを同時に観察するために、いくつかの蛍光プローブを投与し、蛍光連続観察を行った。 その結果、アルミニウムイオンストレス下では、細胞のviabilityが完全に失われる以前に細胞の伸長速度が低下し、ひきつづいて一部の細胞には細胞内部の構造に変化が認められた。 このことから、アルミニウムイオンはまず細胞壁に結合し直接的に細胞伸長を阻害している可能性が示唆された。 今後は細胞1個づつにアルミニウムイオンを作用させてその伸長を追跡することにより、さらに細胞壁とアルミニウムイオンとの関連を明らかにする予定である。
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