1999 Fiscal Year Annual Research Report
イネのグルタミン酸合成酵素群の窒素代謝における役割の解明
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11760042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早川 俊彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60261492)
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Keywords | アンモニア / イネ / 窒素転流 / NADH依存性グルタミン酸合成酵素 |
Research Abstract |
1.イネNADH-GOGAT遺伝子のプロモーター領域の解析 イネ培養細胞での粒子銃を用いた一過的遺伝子発現解析及びイネ形質転換個体を用いた遺伝子発現解析から、以下の結果を得た。(1)イネNADH-GOGAT遺伝子の翻訳開始点から5'上流-2840〜+886bpの領域は、外部供給したNH^4_+に対して正の発言応答を制御する可能性が示唆された。(2)上記遺伝子領域は、未成熟な葉身と登熟初期穎果での維管束組織特異的発現及び地下部での中心柱と厚膜組織特異的な発現を制御することが確認された。(3)上記の遺伝子領域を5'側より-142bpまで漸次欠失させた場合でも、(1)と(2)で示した発現特性は維持された。現在、-142〜+886bpの遺伝子領域での発現制御領域の同定を試みている。 2.イネNADH-GOGATcDNAをアンチセンス方向で導入したイネ形質転換体の解析 イネNADH-GOGAT遺伝子部分cDNAをアンチセンス方向に導入した形質転換イネを作出した。これらT1世代の5系統においてアンチセンスRNAの発現とNADH-GOGATたんぱく質含量の顕著な減少が確認された。これらの系統においては、穎果の千粒重が野生型と比較して著減しており、登熟初期の穎果における転流グルタミンからの窒素代謝上重要なグルタミン酸への変換をNADH-GOGATが担っている可能性が強く示唆された。さらに、導入遺伝子が1コピーのホモ後代T3世代を選抜した。このホモ系統においても、NADH-GOGATたんぱく質含量が野生型と比較して減少しており、導入形質の遺伝的固定に成功したと思われる。
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[Publications] Toshihiko Hayakawa: "Quantitative intercellular localization of NADH-dependent glutamate synthase protein in different types of root cells in rice plants"Plant Physiology. 119. 409-416 (1999)
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[Publications] 早川 俊彦: "植物の環境応答、生存戦略とその分子機構、植物における窒素転流の分子機構"細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ. 11. 171-183 (1999)