1999 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素欠乏ストレスで誘導される遺伝子の単離と機能解析
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11760046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 優 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60281101)
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Keywords | ホウ素 / タバコ / ディファレンシャルディスプレイ |
Research Abstract |
ホウ素栄養状態に伴う代謝変化を解明することを目的として,タバコ培養細胞でホウ素欠乏時に誘導される遺伝子の検索を行った. ホウ素欠除培地に移した細胞と対照細胞からmRNAを抽出し,両者をディファレンシャルディスプレイ(DD)法で比較した.欠除処理時間は3,6時間あるいは18時間とした. 200種類以上のプライマーセットでPCR増幅を行い,両細胞のcDNA電気泳動パターンを比較したがどの処理時間でも明確な差を見いだせなかった.タバコ培養細胞ではホウ素欠除処理48時間以内に半数以上の細胞が死滅するので,欠乏時に全く遺伝子発現変化がないとは考えにくい.むしろホウ素欠乏で致命的な障害を受けた細胞からは無傷のmRNAが単離されにくいことが欠乏細胞特異的な遺伝子の検出を妨げていると考えた. そこで次に低ホウ素濃度に馴化した細胞で誘導される遺伝子を検索した.培地ホウ素濃度を段階的に低下させ,通常の1/50相当の20ppbで生育できる馴化細胞を得た.この細胞ではホウ素の機能を一部代替する因子,あるいは低ホウ素ストレスに関係する因子が誘導された可能性がある.この馴化細胞と対照細胞でDDを行い,馴化細胞で特異的に増幅される遺伝子断片5種類を得た.このうち1種類についてはノザン解析で馴化株特異的な発現を確認した.この断片はタバコのサプレッサー遺伝子と部分的な相同性があった.他の4種類については馴化細胞・対照細胞ともシグナルを検出できなかったため,より感度の高いRT-PCRの適用を検討している.今後これらの遺伝子の全長取得,機能解析によりホウ素栄養と細胞代謝の関係を明らかにしたいと考えている.
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[Publications] M.Kobagashi,H.Nakagawa,T.Asaka,T.Matoh: "Borate-rhamnogalacturonan II bonding reinforced by Ca^<2+> retains pectic polysaccharides in higher-plant cell walls"Plant Physiology. 119. 199-203 (1999)