1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムキレート物質の生合成と分泌機構に関する研究
Project/Area Number |
11760048
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
馬 建鋒 香川大学, 農学部, 助教授 (80260389)
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Keywords | 有機酸分泌 / アルミニウム / 耐性 / 染色体 / 根 |
Research Abstract |
本研究は植物のアルミニウム耐性機構の解明を目的し、アルミニウムによって誘導される有機酸の分泌及び生合成に関する詳細な解析を行い、以下のような成果を得た。 1.アルミニウム耐性の強いCassia toraの根端においてクエン酸合成関連酵素の活性に対するアルミニウムの影響を調べた結果、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)及びクエン酸シンターゼ(CS)の活性は影響されなかったが、NADPーイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(NADP-IDH)の活性はアルミニウム処理によって20〜30%程度減少された。このことはCassia toraでは合成されたクエン酸の分解を抑制することによって、クエン酸を根外に分泌していると考えられる。一方、アルミニウム耐性の弱いCassia occidentalisにおいてこのような現象が認められなかった。 2.、ライムギ(品種Currency)とコムギ(品種Chinese Spring)の交雑から得られた染色体構成の異なるライコムギを用いて、Al耐性を評価した結果、ライムギAl耐性遺伝子は3R染色体短腕に座乗していることを明らかにした。また、この遺伝子は特異的にアルミニウム耐性を示し、他の重金属(Cd、Cu、La)に対して耐性を示さなかった。さらにこの遺伝子はアルミニウムによる根からの有機酸(クエン酸とリンゴ酸)の分泌に関与し、有機酸の合成または分泌に関わっている可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)