2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物との細胞内共生を含む根粒菌の複雑な生活史の分子基盤の探索
Project/Area Number |
11760052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三井 久幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40261466)
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Keywords | rhizobium / nitrogen fixation / endosymbiosis / sigma factor / heat shock protein / cell division / chaperon / cell cycle |
Research Abstract |
アルファルファ根粒菌S.melilotiはシグマ因子σ^<32>ホモログをコードする遺伝子を二つ(rpoH_1、rpoH_2)有している。共生に関し、S.melilotiのrpoH_1変異株はNod^+Fix^-、rpoH_2変異株はNod^+Fix^+、rpoH_1rpoH_2二重変異株はNod^-Fix^-となる。このシグマ因子によって転写される遺伝子を探すために以下の実験を行った。各変異株、野生株の液体培養の温度を急上昇させ、その後の細胞内タンパク質合成パターンの変化を追跡した。その結果Hspは1)合成が特に顕著に誘導され、かつrpoHの機能に部分的に依存しているもの 2)合成速度は温度上昇後10分で最大になり、かつrpoHに依存 3)合成は30分で最大、rpoHに依存しないの3グループに類別された。グループ1はウェスタン解析により多重groEL遺伝子の産物、グループ2はA.tumefaciensの知見を参考にClpBとDnaK、とそれぞれ推定した。更に、熱ショック処理の前後や培養細胞・バクテロイド間において、5つのgroE、2つのclpB、及びdnaK各々のmRNA量の変化と転写へのRpoHの関与の有無を調べた。その結果、5つのgroEのうち少なくとも2つのmRNAが熱ショックにより増加し、一方はrpoH_1の機能に依存、他方はrpoH_1、rpoH_2に無関係であることを明らかにした。次に、RpoH_1、RpoH_2各々に対する抗血清を用いて、熱ショック処理や単生・共生の違いに伴う各タンパク質の細胞内濃度の変化を測定した。その結果、RpoH_1タンパク質の細胞内濃度は、熱ショック処理の前後や単生・共生の違いにかかわらず一定の高いレベルを示していた。RpoH_1の高い活性が必要でない細胞内では、RpoH_1分子の大半に転写過程への参加を妨げるような制御が働いていると考えられる。
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[Publications] Ono,Y.,H.Mitsui,T.Sato,K.Minamisawa: "Two RpoH homologs responsible for the expression of heat shock protein genes in Sinorhizobium meliloti"Molecular and General Genetics. 246. 902-912 (2001)