2000 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の硝酸呼吸における一酸化窒素(NO)解毒機構の解明
Project/Area Number |
11760053
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高谷 直樹 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (50282322)
|
Keywords | 一酸化窒素 / フラボヘモグロビン / Fusarium / 脱窒 / 硝酸呼吸 |
Research Abstract |
我々は糸状菌F.oxysporumが硝酸呼吸を行うことを真核生物としては初めて発見し、様々な硝酸呼吸系構成酵素を単離・解析している。その中でも、cytochrome P450nor(P450nor)とflavohemoglobin(Fhb)はin vitroでそれぞれ一酸化窒素(NO)の還元とNOの2原子酸素添加活性をもつばかりでなく、NOなどの窒素酸化物によって発現誘導される。本研究では、それぞれの変異株を作製し表現型を解析し、これらの蛋白質の機能を考察した。 fhbおよびP450norをともに発現しない変異株M7株を過塩素酸耐性を指標にしてF.oxysporum MT-811(野生株)より単離した。亜硝酸添加培地を用いて培養すると、MT-811株はNOを生成しないのに対し、M7株ではNOの蓄積がみられた。また、M7株では生育が抑制された。構成的に発現する遺伝子プロモーターを用いP450norおよびfhb遺伝子のそれぞれをM7株で発現させた株、M7-NおよびM7-F株では、培地中のNOの蓄積は見られなくなった。更に、これらの株では、それぞれ、P450norおよびfhbのin vitroでの反応産物である亜酸化窒素と硝酸が検出され、M7株と比べて生育が回復した。これらの結果は、P450norとfhbがin vivoでそれぞれNOの還元と2原子酸素添加反応に必須であり、これらがNO存在下でのF.oxysporumの生育に重要な役割を持つことを示す。また、低濃度の亜硝酸存在下ではfhbのみが発現誘導されたことから、両者が機能分担することも示唆された。
|