1999 Fiscal Year Annual Research Report
X線構造解析に基づく白麹菌キシラナーゼの好酸性・耐酸性機構の解明
Project/Area Number |
11760054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伏信 進矢 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00302589)
|
Keywords | キシラナーゼ / 白麹菌 / X線結晶構造解析 / タンパク質工学 / 好酸性 / 耐酸性 |
Research Abstract |
キシラナーゼCの好酸性機構に重要な残基の一つとしてアスパラギン酸37が既に詳細に解析されているが、その他にも重要な残基があることが結晶構造から予想されているので、それらについてもタンパク質工学的な解析を行った。 まず、基質結合クレフトの入り口に存在するグルタミン酸118をアラニン、グルタミンにそれぞれ置換した変異体を用意し、さらに、これをアスパラギン酸37をアスパラギンに変異したものと組み合わせた変異体5種と、組換え大腸菌由来の野生型酵素、白麹菌から精製されたキシラナーゼCをあわせて計7種の酵素について発現、精製を行った。現在、これらの精製酵素について、既報の論文では調べられていない、より詳細な活性-pHプロファイルと、速度論的解析等について測定を行っているところである。 さらに、その他にも、本酵素の好酸性機構に重要であると思われるチロシン10,フェニルアラニン131,トリプトファン172と、耐酸性機構に重要であると思われる、多くの酸性残基についての変異体の作成を行っている。 それに加え、キシラナーゼCに相同で、通常の至適/安定pHを持つキシラナーゼBについても同様にタンパク質工学的手法を用いるために、大腸菌での発現ベクターの作成を行い、発現/精製系を確立した。現在、この組み換え大腸菌由来キシラナーゼBが白麹菌由来の酵素と同様の性質を持つかどうか解析中である。 また、酵素を変性し失活させる実験とともに、滴定実験で表面電荷のpKaの測定を行い、耐酸性機構を詳細に調べるためには、100mg以上という、非常に大量の酵素が必要である。そこで、キシラナーゼC/B遺伝子を高コピー導入した白麹菌を用いて大量発現、精製の実験を行った結果、キシラナーゼCでは十分な量の酵素が得られた。キシラナーゼBの発現は十分ではなかったため、現在、発現条件などの検討を行っている。
|