1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11760056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
足立 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00211699)
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Keywords | 細胞質分裂 / シグナル伝達 / 細胞性粘菌 / IQGAP / RhoファミリーGTPase |
Research Abstract |
細胞質分裂は、細胞分裂の最後に細胞質が二分される段階であるが、等価な娘細胞を複製するために、時間的・空間的に厳密に制御されている。本研究は、細胞質分裂の分子細胞生物学的研究に有利な細胞性粘菌を用い、細胞質分裂の制御に関わるタンパク質の同定と機能解析を目的としている。平成11年度は、IQGAP様タンパク質の一つDGAP1が分裂溝に局在し、既に分裂溝への局在を明らかにしているもう一つのIQGAP様タンパク質GAPAとともに分裂溝の陥入に関与している可能性を示した。また、これらの分裂溝への局在が相互に非依存的に起こることも変異株の解析から明らかにし、共通の機能と共通のシグナル上流分子の存在が予想された。IQGAP様タンパク質に関しては、rhoファミリーGTPaseとの相互作用を詳しく調べるとともにそれ以外の結合タンパク質の同定は次年度に行う。また、細胞質分裂の制御に関わることが予想される細胞性粘菌rhoファミリーGTPaseとその制御分子をデータベースから検索し、RacF1,RacG,RacH,RacJとrhoGDI1の6分子を同定し、cDNAの全塩基配列を決定した。Racに関しては細胞内の局在を決定し、RacGとRacHか細胞質分裂のシグナルに関わる可能性が示唆された。rhoGDI1については、遺伝子欠損株が巨大多核細胞を生じることから、細胞質分裂への関与が証明された。rhoGDIは一般に脂質修飾されたrhoファミリーGTPaseに対して働くことが知られるため、その機能の生化学的証明には、rhoファミリーGTPaseをsf9細胞で発現させる必要がある。今年度はsf9細胞培養系の立ち上げが完了したので次年度は、このシステムでタンパク質を発現精製し、生化学的機能の証明を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Kon et al.: "amiB, a novel gene required for the growth/differentiation transition in Dictyostelium"Genes to Cells. 5. 43-55 (2000)
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[Publications] K.Tanaka et al.: "Identification of protein kinase B(PKB) as a phosphatidylinositol 3,4,5-trisphosphate binding protein in Dictyostelium discoideum"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 63. 368-372 (1999)
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[Publications] M.Yazu et al.: "Novel Dictyostelium Unconventional Myosin MyoK Is a Class I Myosin with the Longest Loop-1 Insert and the Shortest Tail"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 255. 711-716 (1999)
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[Publications] 足立博之: "細胞性粘菌をモデルとしたミオシンの細胞内機能の解明"細胞工学. 18. 1611-1618 (1999)