1999 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン分解系・プロトカテク酸メタ開裂経路の遺伝子・酵素群の全容解明
Project/Area Number |
11760057
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
政井 英司 長岡技術科学大学, 工学部, 講師 (20272867)
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Keywords | リグニン / バニリン酸 / シリンガ酸 / プロトカテク酸 / メタ開裂経路 / 分解酵素遺伝子 / Sphingomonas |
Research Abstract |
リグニン分解細菌Sphingomonas paucimobilis SYK-6株のプロトカテク酸(PCA)4,5-開裂系の全容解明に向けて、4-carboxy-2-hydroxymuconate-6-semialdehyde(CHMS)dehydrogenase(LigC)と4-oxalomesaconate(OMA)hydratase(LigJ)の各遺伝子の構造と機能を明らかにした。ligCはligBの295bp下流に存在し、945bpのopen reading frame(ORF)にコードされていた。LigCは他のalcohol dehydrogenaseと類似性の低いAlcaligenes sp.BR60の3-chlorobenzoate cis-dihydrodiol dehydrogenaseと19%の相同性を示した。大腸菌内でligCを高発現させ遺伝子産物を単一に精製した。精製LigCは70kDaのhomodimerであり、NADP^+に依存してCHMSを2-pyrone-4,6-dicarboxylateに変換することが明らかとなった。また動力学的パラメーター等の酵素学的諸性質も明らかにした。 一方、ligJは、ligAの上流72bpに存在する1,023bpのORFであることが示された。ligJを大腸菌内で高発現させ、遺伝子産物を単一に精製した。精製LigJは69.5kDaのhomodimerであり、OMAを4-carboxy-4-hydroxy-2-oxoadipateに変換することをelectrospray ionization-mass spectrometryによって明らかにした。また動力学的パラメーターを含む酵素学的諸性質についても明らかにした。ligJ遺伝子のリグニンモデル化合物代謝における真の役割を明らかにするためにSYK-6株のligJを破壊した。その結果、ligJ破壊株はバニリン酸(VA)とシリンガ酸(SA)の生育能を完全に失った。このことと以前の結果からVAはPCA 4,5-開裂系を経由して代謝されるのに対して、SAは3-O-methylgallateに変換された後、PCA4,5-開裂系とは異なる経路で代謝され、最終的にCHMでPCA4,5-開裂系に合流することが明らかとなった。
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