1999 Fiscal Year Annual Research Report
コリネ型細菌におけるリン酸重合体依存キナーゼの役割とその構造・機能相関の解明
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11760064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 重幸 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (00303909)
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Keywords | リン酸重合体 / コリネ型細菌 / NADキナーゼ / グルコキナーゼ / ポリリン酸 / Micrococcus flavus / エネルギー担体化学進化 / NADキナーゼ遺伝子 |
Research Abstract |
無機リン酸がリン酸エステル結合で縮合したリン酸重合体は、ATPと同様にリン酸基供与体として機能していると考えられているが、その詳細は充分解明されていない。本申請研究は、リン酸重合体をリン酸基供与体とする酵素及びリン酸重合体の代謝系の解明を目的とした。これまでに、Micrococcus flavusから、リン酸重合体を基質として利用するグルコキナーゼと新規NADキナーゼを精製し、その諸性質を明らかにした。 M.flavusから精製されたグルコキナーゼは、分子量60k(サブユニット分子量30k)であり、トリヌクレオチ(ATP,GTP,CTP,TTP,UTP)と4残基以上のリン酸基からなる市販のリン酸重合体の両方をリン酸基供与体として利用した。リン酸基供与体の種類に拘わらず、本酵素の至適pHは7.0であった。また、M.flavusからリン酸重合体を抽出し、これがグルコキナーゼの基質となり得ることを示した。一方、NADキナーゼは、分子量68k(サブユニット分子量34k)であり、グルコキナーゼの場合と同様にトリヌクレオチド(ATP,dATP,GTP,CTP,TTP,UTP)と4残基以上のリン酸基からなる市販のリン酸重合体の両方をリン酸基供与体として利用した。本酵素は、NADH,ATP,ADP,AMP,アデノシン、ADP-リボースには作用せず、NADのみに作用した。リン酸基供与体の種類に拘わらず、本酵素の至適pHと至適温度は7.0及び55℃であった。また、速度論的解析から、NADキナーゼのリン酸重合体に対する触媒部位はATPに対する触媒部位と共有されていることが分かった。このNADキナーゼの遺伝子をクローニングするため、NADキナーゼの内部アミノ酸配列情報を基にして設計したプローブを用いてM.flavusのゲノムDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、数種類の陽性クローンが得られたので、これらの陽性クローンを解析中である。 現在、M.flavusのリン酸重合体依存NADキナーゼの論文を学術雑誌(Journal of Biological ChemistryやJournal of Bacteriology)に投稿中である。
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