1999 Fiscal Year Annual Research Report
マクロリド抗生物質ポリナクチン類に関する生物有機化学的研究
Project/Area Number |
11760083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清田 洋正 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30234397)
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Keywords | ポリナクチン / パママイシン / 抗生物質 / 全合成 / マクロリド / イオノフォア |
Research Abstract |
ポリナクチン類およびパママイシン類は、Streptomyces属放線菌に由来するマクロリド系抗生物質である。ポリナクチンは殺ダニ剤マイトサイジンSとして醗酵生産により実用化されているが、これは比較的低活性な5種類の同族体の混合物である。パママイシン-607は、同族体の中でも最も気菌糸形成促進活性が強く、またこれも幅広い抗菌スペクトルを示す。前者についてはより高活性なアナログの開発、後者は初の全合成を目指した研究を行った。 ・ビスホモノナクチン酸:両鏡像体をより簡便に合成するため、全合成の最終段階に近い中間体において不斉を導入する経路の検討を行った。フラテーのアルキル化反応を用いてアンチアルドール骨格を構築し、シス選択的ヨードエーテル化反応を経て、ラセミ体のビスホモノナクチン酸メチルおよびその8位異性体をそれぞれ6工程25%の全収率で得た。途中の段階で不斉還元法または酵素触媒不斉加水分解法を用いれば、相当する光学活性体の調製が可能である。また、イソプロピルメチルケトンを出発原料として、菌体を用いたモノマー或いはテトラマーの調製基質であるチオエステルの合成を達成した。 ・パママイシン/北半球部:トランスのアリルアルコールにシャープレスの不斉エポキシ化反応を用いて不斉を導入、アンチアルドール骨格を構築、続いて光学活性なC_1-C_6フラグメントおよびC_8-C_<15>フラグメントを調製した。 ・パママイシン/南半球部:シスのアリルアルコールにシャープレスの不斉エポキシ化反応を行い、シンアルドール骨格を構築、更に全ての炭素骨格およびcis形テトラヒドロフラン環を有するC_<1'>-C_<11'>フラグメントの前駆体を合成した。収率向上、工程数短縮に対する改良法として同様にエバンズの不斉アルドール反応を用いてC_<1'>-C_<11'>フラグメントの前駆体を合成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Hanadate,H.Kiyota,T.Oritani: "Synthesis of (±)-methyl bishomononactate, a monomeric component of polynactin antibiotics"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. (印刷中). (2000)
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[Publications] 古屋 幸人、清田 洋正、折谷 隆之: "Pamamycin-607の合成研究"日本農芸化学会東北支部第130回例会講演要旨集. 8 (1999)
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[Publications] 古屋 幸人、清田 洋正、折谷 隆之: "抗生物質Pamamycin607の合成研究"日本農芸化学会誌. 73・増刊. 338 (1999)
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[Publications] 花館 忠篤、清田 洋正、折谷 隆之: "マクロリド系抗生物質ポリナクチンの合成研究"日本農薬学会第25回大会講演要旨集. 34 (2000)
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[Publications] 古屋 幸人、清田 洋正、折谷 隆之: "Pamamycin-607の合成研究"日本農薬学会第25回大会講演要旨集. 35 (2000)
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[Publications] 花館 忠篤、清田 洋正、折谷 隆之: "ビスホモノナクチン酸メチルの合成"日本農芸化学会誌. 74・増刊(印刷中). (2000)