1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体触媒を用いたスルホキシドの立体選択的還元とその不斉有機合成への応用
Project/Area Number |
11760087
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安保 充 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00272443)
|
Keywords | キラルスルホキシド / 生体触媒 / 立体選択的還元 |
Research Abstract |
基質として使用するスルホキシドの合成、および、DMSO還元酵素の精製(分画法確立済み)については、おおむね終了した。そこで、まず菌体(Rhodobacter sphaeroides f.sp.denitrificans)を用いた光学活性スルホキシド調整法を検討した。基質となる合成スルホキシドを含んだ培地では、その毒性からは菌は十分に生育できなかった。そこで、DMSOを含んだ培地で菌を生育させ、菌体がペリプラズム空間にDMSO還元酵素を十分誘導合成した状態で、合成スルホキシドを添加することによって、菌体による鏡像選択的還元が成功した。メチルフェニルスルホキシド(MPSO)や、MPSOのベンゼン環のパラ位にMe-,MeO-,Br-といった置換基の付いた基質で、(R)-体のスルホキシドが高い鏡像体純度で回収された。しかしながらMPSOのMe基がEt,Prとなった反応速度の遅い基質では、菌が溶菌し、目的とする反応が十分進行しなかった。菌体は、対数増殖期よりも定常期のもののほうが、熱など外的ストレスに強いことが知られており、使用菌体を対数増殖期のものから定常期のものに変更した。その結果、反応の効率が改善され、この菌体反応を2回繰り返すことでEPSOでも鏡像体純度>99%のものを回収することができるようになった。さらに、反応速度の遅い基質でも、菌体反応を成功させるため、現在、DMSO含有培地で生育した菌体を集菌し、それを合成基質を含んだ培地に再懸濁させることによって、反応が十分進行しないか検討中である。一方、DMSO還元酵素の立体選択性についての研究では、鏡像選択性に基質の芳香環の相互作用が必須であるのかを調べるため、現在、メチルピリジルスルホキシド、およびシクロヘキシルメチルスルホキシドを酵素と反応させ、その選択性を正確に調べている状況である。
|