1999 Fiscal Year Annual Research Report
食用キノコの香気分子生合成機構の解明と香気の安定生成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11760101
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
城 斗志夫 新潟大学, 農学部, 助教授 (00251794)
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Keywords | キノコ / リポキシゲナーゼ / 1-オクテン-3-オール / ヒラタケ / 香気 |
Research Abstract |
食用キノコの主要香気成分である1-オクテン-3-オールの生合成機構の解明を目的として、その生合成に深く関与すると考えられるリポキシゲナーゼ(LOX)を精製し、反応生成物等を調べた。なお、実験材料にはキノコの中でも非常に香りの強いヒラタケ(Pleurotus ostretus)を用いた。 ヒラタケを傘と柄に分け1-オクテン-3-オール含量とLOX活性を調べたところ、いずれも傘の方が高かった。よって、LOXの精製には傘を用いた。ヒラタケの傘をワーリングブレンダーと超音波破砕機でホモジナイズ後、遠心して粗酵素液を調製した。これを超遠心分離し、得られた可溶性画分をダイマトレックスグリーンAアフィニティーカラム、DEAE-トヨパールイオン交換カラム、セファクリルS-200ゲルろ過カラムの3つのステップで精製した。その結果、LOXは195倍に精製され、回収率は14%で比活性65U/mgの蛋白質が得られた。これをSDS-PAGE で分析したところ多数のバンドが検出され、LOXはまだ不均一であることがわかった。そこで、TSK-gelG3000SWゲルろ過カラムによるHPLCでさらに精製したところSDS-PAGEで分子量107,000〜101,000の位置に3本のバンドを示すまでに精製された。ゲルろ過によるLOXの分子量は約252,000であったことから同酵素は複数のサブユニットから構成されていると考えられ、3つのいずれがリポキシゲナーゼを構成しているのか現在検討している。この部分精製酵素の反応生成物を調べた結果、リノール酸から13-ヒドロペルオキシドを特異的に生成した。キノコの1-オクテン-3-オール生合成経路には9-ヒドロペルオキシドを経た経路と13-ヒドロペルオキシドを経た経路の2つの説があり、ヒラタケの結果は後者により1-オクテン-3-オールが合成されることを示唆している。
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