2000 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質酸化傷害マーカーによる食用植物中の抗酸化物質評価系の確立とその探索
Project/Area Number |
11760103
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (00244533)
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Keywords | 活性酸素 / 生体内酸化ストレス / タンパク質酸化修飾 / 酸化シスチン / ヒドロキシラジカル / DNA鎖切断活性 / 能動的酸化ストレスマーカー / 抗酸化活性 |
Research Abstract |
生体内で発生した活性酸素によりタンパク質が酸化的修飾を受け、様々な疾病の原因になり得るだけでなく、この生体内酸化ストレスの蓄積が生活習慣病の進展に深く関与していると考えられている。本研究では、タンパク質の酸化傷害マーカーとなる物質またはその変化を有機化学的、生化学的に解析して、抗体などを用いた簡便な抗酸化活性評価系の確立を目指し、食用植物探索源への応用を目的とした。本研究の成果を要約すると、生体酸化モデル系の中でタンパク質の酸化傷害を化学的に解析した結果、含硫アミノ酸残基が顕著に酸化修飾を受けていることを明らかにし、とりわけ酸化傷害を受けたシスチン残基(酸化シスチン)の酸化修飾機構を有機化学的手法で解明した(平成11年度)。さらに、酸化シスチンを認識する抗体の作製を試みたが、抗体価が上がる抗原の作製には至らなかった。また、生成した酸化シスチン自身の反応性を調べた結果、生体内チオール化合物との反応から活性酸素を生成しDNA鎖切断活性を有することを明らかにした。酸化シスチンのモデル化合物を合成し、DNA鎖切断活性を指標とした簡便な抗酸化活性評価系の構築に成功し、予備的に香辛料抽出物についてのスクリーニングを行った(平成12年度)。本研究期間内に、スクシイミド系の架橋剤(EMCS)を利用して有機合成的に抗原作製を試み続けたが、結果的に酸化シスチン特異的な抗体価の上昇にまで至らなかった。今後、別の抗原調製法や免疫法にて何としても抗体作製を完成したい。また、チオール存在下、生成した酸化シスチン自らが活性酸素のジエネレーターとして働くことを突き止めた点は、本研究の大きな成果の1つである。これまでの安定な酸化ストレスマーカーとは違い、酸化シスチンは「能動的酸化ストレスマーカー」と名付けるに相応しく、酸化シスチンが生成した局所においてさらに次なる酸化傷害を引き起こし得るものと考えられた。
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[Publications] Y.Kato, et al.: "Formation of N^ε-(hexanonyl)lysine in protein exposed to lipid hydroperoxide"J.Biol.Chem.. 274(29). 20406-20414 (1999)
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[Publications] 森光康次郎: "香辛料中の抗酸化物質について"日本食品衛生学会誌. 42(2). 1-8 (2001)