1999 Fiscal Year Annual Research Report
火砕流流域における水・土流出およびそれに伴う地形発達に関する火山水文地形学的研究
Project/Area Number |
11760116
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺本 行芳 鹿児島大学, 農学部, 助手 (10301392)
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Keywords | 火砕流堆積物 / 土石流 / 地形変化 / 生産土砂量 / 流出土砂量 |
Research Abstract |
火砕流堆積物に覆われた雲仙普賢岳流域水無川において、雨量、浸透能、土壌水分量、表面流出量、土石流・泥流などを観測するための水文試験地を現地に設置し、観測を開始した。火砕流堆積物に覆われた流域で発生した土石流・泥流の観測結果から、土石流・泥流の発生の降雨条件が経時的に上昇してきていること、また、土石流・泥流の発生頻度、規模(ピーク流量、総流出量、流出土砂量)などが経時的に減少していくことが明らかになってきた。 このように土石流・泥流の発生頻度、規模(ピーク流量、総流出量、流出土砂量)などが経時的に減少していく理由の1つとしては、火砕流堆積物に覆われた流域に発達したリル・ガリーの面積が経年的に増加することにより、表面流発生に寄与する流出域が減少するため、表面流の流量がより小さくなり、土石流の発生頻度や規模が小さくなっていくと考えられる。これらのことを明らかにするために、雲仙普賢岳水無川流域において、リル・ガリーの面積がどのように変化したのかを、火山活動停止後の1995年から1999年までの空中写真を用いて解析した。その結果、雲仙普賢岳水無川流域に発達したリル・ガリーの面積は経年的に増加していることがわかった。このことからも、リル・ガリの面積の増加は、土石流・泥流の発生頻度、規模(ピーク流量、総流出量、流出土砂量)などを経時的に減少させる理由の1つとして考えられる。次年度は、さらに現地観測・解析を進め、土石流・泥流の発生頻度、規模などが減少していく原因を追求していきたい。
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