2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11760122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 助手 (10293911)
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Keywords | セルロース / セロビオース / 還元性末端 |
Research Abstract |
(1)アルキル鎖長の異なるセルロース誘導体の合理的合成:新たに15-azido-pentadecanoylchlorideをセルロースの末端アミノ基と縮合させた。縮合剤としてEEDQを用いる方法より反応が短時間に完結する利点を持つ。さらにアジド基の還元によるアミノ基への変換を繰り返すことにより、炭素数15のアルキル鎖ブロックを4つ持つセルロース誘導体シリーズを合成した。このセルロース誘導体のアセチル基を除去することにより、常温で液晶性を示すポリマーを得た。 (2)セロビオース誘導体へのアルキル鎖導入およびMALDI-TOF-MSによる構造解析:MALDI-TOF-MSを用いてこれまで困難であった副生成物の構造を推定したところ、アジド基の還元反応の際に2量化が起こることが判明した。このことから、この反応を繰り返すことにより、少量のデンドリマーlikeな構造を持つ分子が生成することを確認した。 (3)最終末端官能基のセルロース誘導体への導入:また、セルロースのモデル化合物としてセロビオースを用い、その還元性末端へ15-hydroxypentadecanoicacidをアミド結合で導入した。その長鎖アルキル鎖末端へ重合性官能基としてメタクリル酸を導入した。この化合物の原子移動ラジカル重合により、分子量分布が精密に制御されたセロビオース含有櫛形ポリマーを新規に得た。重合条件を詳細に検討した結果、このモノマーは重合度10程度で反応が停止することが示された。この反応溶液中で重合物は結果重合活性末端が重合物中心に埋もれた星形ポリマーのようなコンホメーションをとることが示唆された。セルロース誘導体を用いた反応を現在検討中である。 (4)長鎖疎水基末端へのチオール基の導入とその応用:セルロース誘導体の還元性末端へ導入された長鎖疎水基末端の水酸基をメシル化、チオアセチル化により硫黄原子を導入した。このセルロース誘導体を直径20nmの金コロイド粒子と共に脱アセチル化すると、特異的に金粒子とセルロース誘導体が相互作用し、セルロース誘導体が菌コロイドを内部に取り込むことが走査型電子顕微鏡により示された。また金コーティングされたマイカ上でこのセルロース誘導体を脱保護すると金上へセルロース誘導体が均一に吸着することがAFMにより確認された。
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