1999 Fiscal Year Annual Research Report
魚類寄生微胞子虫と粘液胞子虫の宿主侵入における細胞生物学
Project/Area Number |
11760132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
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Keywords | 粘液胞子虫 / 細胞生物学 / 胆汁 / ブリ |
Research Abstract |
粘液胞子虫のin vitroアッセイ系の確立:ブリ0歳魚から胆汁を無菌的に採取し、遠心分離して粘液胞子虫Myxobolus spirosulcatusおよび未記載のCeratomyxa属粘液胞子虫2種の栄養体を回収した。栄養体は、抗生物質(penicillin 100U/mL,streptomycin 100μg/mL,amphotericin B 0.25μg/mL)および10%FBSを添加したEagles-MEM培地(pH7.2)で一度洗浄後、再懸濁して12穴ウエルプレート内で培養された。細胞数および胞子数は血球算定盤(Fuchs Rosenthal)を用いて位相差顕微鏡下で測定した。これら栄養体はMEM培地内で18℃で2-7日以内に胞子形成に到ったが、増殖することはなかった。さらに、培養温度と培地のpHが栄養体の発育に与える影響について検討した。培養温度については5,15,23℃の範囲内で胞子形成率に有意差が認められなかった。一方、pHについてはブリ胆汁のpHが低い状態のサンプルほど多くの栄養体が観察され、実験的にpHを5から7に上昇させることで胞子形成を誘導できたが、極嚢未形成など異常な発育もみられた。栄養体の増殖を促進する培養条件についてはさらに検討を要するが、胞子形成については培養温度よりも培地のpHが重要な要因であることが示唆された。これは、魚の摂餌状態により胆汁酸の組成が変化し胆汁のpHが変わるという魚の生理的変化に寄生虫が適応しているためと解釈される。また、トリパンブルー染色法が粘液胞子虫栄養体の生死判別法に応用できることが見出された。この手法により、栄養体の薬剤感受性や魚体外での生残性について有用なデータが得られると期待される。
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