1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒラメ変態時の左右非対称性発現に関する内分泌学的研究
Project/Area Number |
11760135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田川 正朋 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20226947)
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Keywords | ヒラメ / 変態 / 左右非対称性 / ACTH / MSH / コルチゾル / retrorbital vesicle / pseudomesial bar |
Research Abstract |
ヒラメの変態期におこる眼の移動のメカニズム、および左右非対称性の発現過程を明らかにするため、変態時期におこる硬組織の形成過程を詳細に明らかにし、眼の移動を細胞レベルで論ずる基盤とすることを目的とした。また、コルチゾルの役割についての基礎的な知見の収集を試みた。 1)樹脂包埋切片の導入による頭部骨格形成過程の観察 樹脂包埋による非脱灰薄切切片の作成と硝酸銀染色によって、ヒラメ変態期の頭部骨形成過程の観察を行った。その結果、異体類に特徴的な硬骨であるpseudomesial barの形成が、眼の移動の中心と推測された。また、これまで記載されていなかった一対の袋状の構造物が見つかり、retrorbital vesicleと名付けた。この構造物は眼の移動する右側にあるものが有意に大きく、また時期的にも眼の移動と同時に膨張していたことから、眼を積極的に押しやっている可能性が示唆された。 2)変態期ヒラメのコルチゾル-ACTH系 ヒラメ仔魚を、コルチゾルの合成阻害剤のメチラポン溶液(5mg/ml)中で飼育したところ、仔魚期に特徴的な形質である伸長鰭条が殆ど発達しなかった。このことはコルチゾルがヒラメ変態およびそれ以前の形態変化に関与していることを強く示唆する。しかしメチラポンとコルチゾルの同時投与群でも同様の形態が見られたため、メチラポンの毒性によって伸長鰭条の形成不全が起こった可能性は否定できない。 免疫染色法を用いて発生に伴うACTHおよびMSHの産生開始時期を検討したところ、卵黄吸収が完了したステージAにおいて、両ホルモンとも既に免疫陽性細胞の存在が確認された。これらは、体内コルチゾル濃度の上昇が始まるよりもはるか以前である。変態が始まるステージGになると、脳下垂体の体積が増加するに従ってこれらのホルモン産生細胞の体積比は減少した。
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[Publications] PerezR,TagawaM,SeikaiT,HiraiN,TakahashiY,&TanakaM.: "Developmental changes in tissue thyroid hormones and cortisol in Japanese sea bass Lateolabrax japonicus larvae and juveniles"Fisheries Science. 65(1). 91-97 (1999)
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[Publications] Kamisaka Y,Tagawa M,&Tanaka M.: "Semi-annual reproductive cycle of a small flounder Tarphos oligolepis in Wakasa Bay"Fisheries Science. 65(1). 98-103 (1999)
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[Publications] Hirai N,Tagawa M,Kaneko T,Seikai T,&Tanaka M.: "Distributional changes in branchial chloride cells during freshwater adaptation in Japanese sea bass Lateolabrax japonicus"Zoological Science. 16. 43-49 (1999)
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[Publications] Kaji T,Tanaka M,&Tagawa M.: "Laboratory study of density-dependent survival after handling in yolk-sac larvae of tunas and a grouper"Fisheries Science. 65(3). 482-483 (1999)