1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境における有毒ラン藻Microcystis属の高感度モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
11760139
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉田 天士 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (80305490)
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Keywords | Microcystis / 高感度モニタリングシステム / モノクローナル抗体 / アオコ / フローサイトメトリー / ミクロシスチン合成酵素 / ミクロシスチン / 有毒株特的識別プライマー |
Research Abstract |
アオコと呼ばれるラン藻類の大量発生の主な原因種である Microcystis は、ペプチド性肝臓毒ミクロシスチンを生産することから問題となっている。現在、Microcystis の識別が、群体の形状と群体内での細胞の配置などの形態に依り、群体形成が不十分なアオコの発生初期には細胞そのものの存在する確認できないため、環境での本属の発生及び分布が正確に把握できていない。そこで申請者は、表現系に左右されない rRNA 遺伝子の塩基配列より本属を6つのクラスターに分け、それぞれに対して特異的なモノクローナル抗体の作製をすでに行なった。 本抗体は、0.5%グルタルタルアルデヒドで1時間固定した細胞を用い、本抗体を25℃下で、2時間反応させ、FITC標識二次抗体を暗所、25℃下で2時間反応させた場合、最も反応性が高かった。また、この条件下において各増殖段階の Microcystis 属培養株に対する本抗体の反応性は一定であった。なお、フローサイトメトリーでの検出については検討中である。 また、各培養株の毒素を HPLC 分析法によって定量し、各クラスターが無毒株と有毒株の差異と一致するかについて検討を行なった。その結果、各クラスター内に有毒株と無毒株が混在することが明らかとなった。そこで、すでに報告されているミクロシスチン合成酵素を標的とする有毒株特異的識別プライマーの設計を試みた。まず、Microcystis の無菌株9株についてPCRによってミクロシスチン構造内のロイシンを活性化するM3領域の増幅を行なったところ3株より特異的な増幅産物を得た。その増幅産物の塩基配列を決定したところ、予想されるアミノ酸配列はいずれもM3領域と高い相同性を示した。そこですべての配列に共通な塩基配列より2組のプライマーを設定してnested PCRを行ったところ、有毒株27株のうち18株より特異的な増幅産物が検出され、無毒株からは全く検出されなかった。さらに本プライマーセットでの検出感度は10細胞と極めて高感度であったので、本プライマーの現場への応用を検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 近藤竜二,吉田天士,幸 保孝,広石伸互: "DNA-DNA reassociation among a bloom-forming cyanobacterial genus, Microcystis"International journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 50. 767-770 (2000)