1999 Fiscal Year Annual Research Report
H.pylori制圧を期待できるチガイソ科海藻胞子葉のウレアーゼ阻害成分
Project/Area Number |
11760143
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 秀幸 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40234570)
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Keywords | ウレアーゼ / 阻害 / 海藻 / ワカメ / チガイソ / フロロタンニン |
Research Abstract |
本年度は、チガイソ科海藻であるワカメとチガイソの胞子葉からウレアーゼ阻害成分を単離し、その構造決定を行った。ウレアーゼ活性の測定は、入手が容易なJack bean由来のウレアーゼを用い、37℃・10分間酵素反応を行い、生成したアンモニアをインドフェノールへと誘導後に、吸光光度法で定量した。北海道南部の海岸でワカメ胞子葉およびチガイソ胞子葉を採集して、80%アセトンで抽出した。エキスを酢酸エチルに転溶後に、2回のセルロースカラムクロマトグラフィーおよび透析で分画して、ウレアーゼ阻害成分を得た。阻害成分はジメトキシベンズアルデヒドに陽性で、メタジフェノール構造を有することが明らかになった。阻害成分の構造決定のためにNMRスペクトルを測定したところ、^1H-NMRでは6ppm付近にブロードなシグナルのみがみられ、^3C-NMRでは150-160ppm、126-127ppmおよび96-97ppmにブロードなシグナルがみられた。これらの結果は本阻害物質がフロロタンニンであることを示唆している。得られたフロロタンニンの平均分子量の測定を限外ろ過膜法やゲル浸透液体クロマトグラフィー法で試みたが、確定するには至らなかった。フロロタンニンのJack beanウレアーゼに対するIC_<50>値は約0.3μg/mlであり、既知阻害物資であるベンゾヒドロキサム酸より阻害が強かった。今後は得られたフロロタンニンの平均分子量を確定し、H.pyloriウレアーゼに対する阻害活性を検討する。さらに、他に阻害成分が存在するかを確かめる。
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