2000 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを用いたHACCP対応型細菌数測定法の確立に関する研究
Project/Area Number |
11760147
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
遠藤 英明 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50242326)
|
Keywords | フローサイトメトリー / HACCP / 大腸菌 / 菌数測定 / 抗生物質 |
Research Abstract |
近年,水産食品業界の分野においてもHACCPの導入が検討されはじめ,食品中の細菌数を早期に把握することが,衛生管理上で極めて重要な項目となっている.また水産養殖分野においてもHACCP観点から,安全で健康な養殖魚を供給することが次第に重要視されはじめている.そこで本研究では,HACCPにおける原料から食卓までの食品の危害因子を鑑み,フローサイトメトリー(FCM)を応用した迅速な細菌検出法及び抗生物質検出法の確立を試みた. まず,食品(水産練り製品)に付着した大腸菌の迅速測定を行うため,超音波振動エネルギーを利用して,食品からの菌体脱離を試みた.その結果,約3分の超音波処理でほとんどの大腸菌を脱落できることが明らかとなった.また,用いたカマボコ試料は,製品の破片などの菌体以外の粒子を含んでいる可能性があるため,菌体とそれら粒子を識別するため,propidium iodideを用いた.その結果,FCMスキャッタグラムを解析することにより,それらを識別することが可能であった.さらに,カマボコ貯蔵下における大腸菌数の計測に本法を適用したところ,平板培養法で得られた結果との間に良い相関を示した.FCMの1検体あたりの測定所要時間は1分であり,試料の調製を含めても30分以内で測定が可能であった. 次に本研究では,抗生物質(アンピシリン)の迅速検出をFCMを用いて検討した.すなわち,アンピシリン感受性の大腸菌を用いて,本菌株がアンピシリンを添加されたときに生ずる菌体細胞の形態変化をFCMで解析することにより,その検出を試みた.その結果,アンピシリンの濃度に依存して,菌体の大きさと構造が変化することがわかった.この現象を利用して,魚肉及び養殖池中のアンピシリンをFCMで測定したところ,従来法との間に良い相関が認められ,2.5時間程でその検出が可能であった.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Endo: "Application of Flow Cytometry to Environmental Control in Marine Aquaculture"Materials Science & Engineering C. 12. 83-88 (2000)
-
[Publications] H.Endo: "Flow Cytometry for Rapid Detection of Ampicillin Activity using Bacterial Susceptibility and its application to aquaculture"Electrochemistry. 68. 862-864 (2000)