1999 Fiscal Year Annual Research Report
新分析法を利用した紅藻粘質多糖の構造および性質に関する研究
Project/Area Number |
11760149
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
濱 洋一郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00243999)
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Keywords | メルカプトリシス / 3,6-アンヒドロガラクトース / アガロース / ポルフィラン / 紅藻 / 多糖 |
Research Abstract |
1 3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース(AG)の効率的調製法-紅藻の粘質多糖には,AGが主成分の一つとして含まれている.しかし,AGは生来非常に不安定であるため,クロマトグラフ的に直接分析する方法はなく,またAG標準品はその誘導体を含めて市販されていない.紅藻多糖の詳細な構造を明らかにするためには,主成分であるAGの標準品は欠かすことの出来ない物質である.そこで,申請者らがすでに開発した非水系下でのメルカプトリシスを応用し,AGジエチルメルカプタール(AGM)の効率的調製法を開発した.市販の寒天を,0.5M HCl/(EtSH:MeOH(2/1,v/v))中60℃で12hメルカプトリシスした.この条件下で構成糖はほぼ定量的に遊離した.溶媒抽出と結晶化を組み合わせることにより,純粋なAGMを80%以上の収率で調製できることを見いだした. 2 紅藻粘質多糖の構造と性質-アガロース,ポルフィラン,カラギーナンを試料とし,これらに申請者らが開発した分析法を適用し,詳細に分析した.アガロースは,一般的にガラクトース(Gal)とAGの反復二糖構造((4L-AGα1→3D-Galβ1→)n)から成っていると考えられている.数種の市販アガロース標品を新分析法により分析したところ,Gal,AGに加え,多い物では15%,少ない物でも9%の6-O-メチル-Galが含まれていた.また,アガロースと同じ基本構造を持つと考えられているポルフィランでは,非常に偏った糖組成(Gal63%,AG15%)を示した.これらの結果から,アガロースおよびポルフィランの分子は二糖の単純な反復構造から成っているのではなく,ポルフイラン分子の少なくとも一部にはGalが連続して存在していることが考えられた.
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