1999 Fiscal Year Annual Research Report
食糧法下における銘柄米の価格形成と品質特性に関する研究
Project/Area Number |
11760161
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
寺内 光宏 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (70265065)
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Keywords | 食糧法 / 良食味性 / 量的生産性 / 質的生産性 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の主たる課題である食糧法下における銘柄米価格の推移及び価格形成に際しての「良食味性」等の品質特性と価格形成の数量的な把握に先立ち、良質米生産地域として評価の高い新潟県を事例として、米生産・流通部門において制度的に市場原理が導入された経済環境における銘柄米生産地域が目標とする良質米の品質特性並びに主産地対応について検討を加えた。良質米生産地域として新潟県を事例にして検討を加えた結果、具体的に明らかにされた諸点を総括するならば、以下のとおりである。第1は、従来まで稲作の生産目標が、10a収量の高さといった「量的生産性」を追究していたものが、国内米需給緩和による産地間競争の激化から、良食味といった「質的生産性」を高めることに移行していることが明確化されたことである。第2は、こうした良食味米の生産目標の下で、新潟県「日本一うまい『新潟米』生産推進運動」は、県内の良質米産地域である魚沼地域、岩船地域等の水稲作栽培を強く意識したモデルであることである。第3は、新潟県内の良食味米産地の多くが中山間地域等の条件不利地域に多く分布していることから、良食味米生産という方向は、中山間地、小規模農家層、条件不利地域等の水稲作にあって一種の展開方向を示唆しているものとみなせることである。以上の3点から、市場競争下における米経済における良質米生産の産地対応としては、従来、稲作生産において条件不利地域とみなされていた中山間地域においても、立地条件、気象条件、栽培条件及び品種選択の是非の条件が満たされるならば、良質銘柄米生産により産地間競争を貫徹することが可能なことを強く示唆しているとみなされる。
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