1999 Fiscal Year Annual Research Report
水稲湛水直播栽培の苗立ち安定化に圃場の均平状態が与える影響
Project/Area Number |
11760166
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧山 正男 茨城大学, 農学部, 助手 (20302333)
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Keywords | 水稲の直播栽培 / 代かき / 表層硬度 / 均平精度 / 新技術導入 |
Research Abstract |
1.農家が直播稲作導入を判断する過程に関する検討(農業土木学会論文集・印刷中) 大規模稲作農家が新技術としての直播の導入を判断する過程を考究した. 農家が直播の導入を判断する過程は,必要性を前提として,1)春先の省力化によって所得機会が増大できる場合に直播を必要だと発想する(発想段階),2)地域条件を踏まえて導入が可能であると判断する(可能性判断段階),3)直播の経済性を評価し,特に最大のリスクである「収量が激減する危険性」が回避可能と判断する(経済的評価段階),の3段階に区分される.このうち最大の障壁は直播技術の困難さによる収量激減の危険性と考えられる. また,このことを実際の事例を用いて検証した. 2.代かき排水中のSSに関する考察(2000年度農業土木学会大会にて発表予定) 代かき排水によるSS(水中浮遊物質)で排水が汚染される問題について,灰色低地土水田を事例として現地における実態把握を行い,続いて実験室内にて,代かき時の湛水深や,どの程度念入りに代かきを行うかなどの影響について検討した. 現地調査の結果,事例水田における代かき排水時には,10aあたり2.4kgの土粒子がSSとして放逐されていることが計測された.これは土層厚にして数ミクロンのオーダーである.また,SSの排出量には,排水口の配置も大きく影響し,排水口を浅く設置して田面に近づけすぎるとSS流出が多くなることも示唆された. 続いて,代かきを攪拌によって模擬的に表現して,その後の土壌の沈降の具合を測定する実験を行った.その結果,代かきを念入りに行うほど,また湛水深を少なくすれば少なくするほど,沈降が早く,短時間SS濃度が低くなることがわかった.これは土粒子間の吸引力によるものだと考えられる.すなわち,実際の水田においても,浅水で,念入りに代かきを行えば,代かき排水のSS負荷が軽減されることが示唆された.
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