1999 Fiscal Year Annual Research Report
都市近郊農地の耕作放棄地の防止および利用に関する研究
Project/Area Number |
11760170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
九鬼 康彰 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60303872)
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Keywords | 耕作放棄地 / 都市近郊地域 / 活用方法 / ビオトープ / 参加者の確保 / 収益性 |
Research Abstract |
耕作放棄地の増加を防止し,その有効な利用方法を提案することは,昨年制定された「食料・農業・農村基本法」においても,優良農地の確保という視点から対策が希求されているように重要なテーマの1つである。本研究では既往研究の少ない都市近郊地域での耕作放棄地に注目し,その発生防止策を土地利用変化から,また利用方法を各地で行われている事例調査から考察するものである。本年度は,土地利用変化の分析を行うためのデータベースの構築と,近畿地方における5つの活用事例調査を行った。 まず,データベースは対象地に選定した神戸市西区の1983年から1999年の農地法4条,5条に基づく農地転用申請を転用データとしてその整理を行うとともに,地形図,住宅地図,地籍図を地図データとして入力し,それらの統合をGIS(地理情報システム)上で行った。一方耕作放棄地を活用している事例には,放棄地を再び農地として復元しているケース,およびビオトープとして活用しているケースを取り上げ,活動の主体や取り組んだきっかけ,取り組みによる効果,今後考えられる課題等の聞き取り調査からこれらの利用方法を検討する際に考慮すべき点について考察を行った。その結果考慮すべき点として,利用内容に合った位置的特徴をもつ放棄地を選択すること,意欲の高い人材を確保すること,特に行政の支援が得られない場合には支出を工夫するなどにより経済的な収支バランスを取ることが明らかになった。さらにいずれの事例も新聞等で掲載されるなど反響が大きく,これからも耕作放棄地の活用事例は増えると考えられるが,取り組みの継続性を保証する制度が課題として挙げられた。 今後はデータベースを利用した土地利用変化の分析を行うと同時に,耕作放棄地の活用事例についてもその全国における事例の蓄積を図り,農地やビオトープ以外に活用しているケースの調査も行い,その活用方法の検討を行う。
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