2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腸管定着性増強を目的とした乳酸菌での腸管定着性因子FimHタンパク質の発現
Project/Area Number |
11760187
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (70257294)
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Keywords | adhesion / FimH / lactic acid bacteria |
Research Abstract |
本研究では,宿主細胞表面への乳酸菌の付着性向上および乳酸菌と病原性細菌との付着競合阻害を目的とし,E.coli由来Type 1線毛のFimHを乳酸菌で産生させるために,Lactobacillus helveticus CP790株由来のプロモーター,シグナル配列とアンカー配列を含んだプロティナーゼ(prtY)遺伝子を応用した。シャトルベクターpHY300PLKを用いてprtY遺伝子をサブクローニングしpY790を構築,さらにそのドメインにPCR増幅したfimH遺伝子を組み込んだ(pYEFH01の構築)。pYEFH01でE.coli JM105とLactobacillus casei CP680を形質転換し,その菌体タンパク質を抗FimHマウス血清および抗PrtYマウス血清を用いウェスタンブロッティング法に供し,両抗体に反応するタンパク質(分子量約40,000)を検出した。 融合タンパク質の機能を解析するために,両形質転換体の菌体タンパク質をそれぞれ用い,Type1線毛をもつE.coli ORN103(pSH2)のヒト結腸線癌由来Caco-2細胞への付着阻害試験を行なった。その結果,各形質転換体の菌体タンパク質の添加によりE.coli ORN103(pSH2)の付着が阻害された。このことから,産生された融合タンパク質がCaco-2細胞への付着性を有し,結果的にE.coli ORN103(pSH2)のCaco-2細胞への競合阻害することが認められ,各形質転換体はFimHと同じ機能を示す融合タンパク質を菌体内で産生していることが示めされた。 以上,L.caseiにおいて融合タンパク質遺伝子を発現させるためのプラスミドpYEFH01が構築できた。産生されたこの融合タンパク質は,同じマンノースを認識し付着するE.coliを競合阻害することが認められた。
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[Publications] Morita et al.: "No Increase in Verocytotoxin Production/Release was Induced in Escherichia coli O157:H7 Death Caused by Nitric Oxide"Applied and Environmental Microbiology. 183(in press). (2001)
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[Publications] 森田英利(分担): "生体内一酸化窒素(NO)実験プロトコール"吉村哲彦 編著(共立出版). 4 (2000)
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[Publications] 森田英利(分担): "食品学各論"吉田勉 編著(三共出版). 12 (1999)