1999 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄のストレスに対する反応の相違を利用した多角的なストレス評価法の確立
Project/Area Number |
11760191
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 助手 (90282384)
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Keywords | ストレス / 輸送 / 雌雄差 / アンドロジェン / エストロジェン / コルチゾル / ヤギ |
Research Abstract |
シバヤギを用い、トラック輸送に伴うストレス反応の雌雄差およびそれに関わる性腺ステロイドホルモンの影響について検討した。まず実験1では、ストレス反応の雌雄差について検討した。雌雄両方に輸送を負荷し、血液中のコルチゾル濃度(Co)、グルコース濃度(Glu)、遊離脂肪酸濃度(FFA)を測定した。雌雄いずれも輸送に伴いCo、Glu、FFAは上昇したが、Coに関してはオスの方がメスに比べその上昇の程度が低かった。一方、GluおよびFFAに雌雄間に差はなかった。続く実験2では、ストレス反応に対する性腺ステロイドホルモンの影響について検討した。去勢オスに、ジヒドロテストステロン(DHT)、エストラジオール(E)、コレステロール(C)をそれぞれ慢性的に投与し、実験1と同じ手順で輸送を負荷した。いずれの投与群においてもCo、Glu、FFAは輸送に伴い上昇したが、CoではDHT群においてその上昇の程度が低く、GluおよびFFAではE群でその上昇の程度が低かった。実験3では、Co上昇の抑制に関わるDHTの作用機序について検討した。DHTあるいはCを慢性的に投与した去勢オスの第三脳室に、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、生理食塩水をそれぞれ注入し、Co、Glu、FFAを測定した。いずれの投与群においても、CRH注入によってCoは上昇したが、DHT群はC群に比べその上昇の程度が少なかった。一方、いずれの注入区においても、Glu、FFAの上昇はみられなかった。これらのことから、(1)シバヤギにおいてもストレス反応に雌雄差があること、(2)その原因の一つは性腺ステロイドホルモンであること、(3)アンドロジェンはストレスによるCo上昇を抑制し、その作用部位はCRH分泌の下位にあること、(4)エストロジェンはストレスによるGlu、FFA上昇を抑制すること、が分かった。
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