1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化管におけるマクロファージ・神経・平滑筋ネットワークの解明
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11760201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 晃一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90205914)
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Keywords | 消化管 / マクロファージ / 消化管ネットワーク / 細胞内Ca濃度 / デキストラン / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
本研究は、これまで明らかにされていない筋層間常在型マクロファージ様細胞の細胞生物学的性質を明らかにし、これを足がかりに筋層間に分布する神経細胞、介在細胞に加え第3の調節因子としてマクロファージ様細胞の生理学的・病態生理学的役割を明らかにすることを目的としている。そのため、以下のような具体的目標のもとに実験を遂行している。 (1)筋層間マクロファージ様細胞を分離し、どのような受容体が存在するかを検討する。また、細胞内カルシウム濃度を測定して情報伝達機構の解析を行う。 (2)正常動物および下部消化管の閉塞性により食物の腸内停留をおこすヒルシュスプルング病モデルラットを用いて、筋層間マクロファージ様細胞の数と平滑筋の収縮性の変化について検討する。さらに、マクロファージ様細胞から放出される一酸化窒素や活性酸素、サイトカインなどの同定・定量を行い、収縮性への影響を検討する。 本年度の研究により、おおむね筋層間マクロファージ様細胞の単離法は確立した。そして、単離マクロファージ様細胞にCa蛍光色素fura-PE3を負荷し、細胞内Ca濃度の測定を行っている。その結果、単離マクロファージ様細胞において、LPS、PAF、ATPおよびデキストラン(分子量70,000)により細胞内Ca濃度が増加することを確認し、次にCa動員機構について詳細な解析を行っているところである。In situにおける筋層間マクロファージ様細胞の細胞内Ca濃度変化についても、測定方法に改良を重ね、徐々に測定技術が向上している。 また、ラット個体にデキストラン(分子量70,000)を腹腔投与する事により筋層間マクロファージ様細胞が活性化され、シクロオキシゲナーゼが誘導され、プロスタグランジンE2が産生されることを明らかにし、現在投稿準備中である。
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