2000 Fiscal Year Annual Research Report
消化管におけるマクロファージ・神経・平滑筋ネットワークの解明
Project/Area Number |
11760201
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 晃一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90205914)
|
Keywords | 消化管 / マクロファージ / 消化管ネットワーク / 細胞内Ca濃度 / デキストラン / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、消化管輪走平滑筋と縦走平滑筋の筋層間に常在するマクロファージの細胞生物学的性質を解明することにより、消化管運動を制御する神経細胞と介在細胞に加え「第3の調節因子」としてマクロファージの生理学的・病態生理学的役割を明らかにするこであった。この目的のもとに精力的な実験を行い、下記事実を明らかにした。 1.単離筋層間マクロファージの細胞内Ca濃度を測定し、LPS、PAF、ATP、デキストランに加え、ラテックス粒子によっても細胞内Ca濃度が増加することを確認した。デキストランとラテックス粒子は分子量は異なるが同じ貪食機構を介して情報が細胞内に伝わると考えられていたが、そのCa増加パターンは明らかに異なっていた。また、これらの細胞内Ca増加に対する、A-kinase、C-kinase活性化の影響を調べることにより、これらのkinaseがCa増加を抑制することを明らかにした。これらの知見に関しては、現在投稿準備中である。 2.消化管の病態生理における筋層間マクロファージの役割を明らかにするために、菌体外毒素(リポポリサッカライド、LPS)を摘出消化管に曝露した。その結果、マクロファージにおいて誘導されたシクロオキシゲナーゼ(COX-2)が、誘導型NO合成酵素(iNOS)を誘導し、NO合成量が増加することにより、消化管運動が抑制されることを明らかにした。この結果は、現在in pressの段階である。 3.下部消化管の閉塞性により食物の腸内停留をおこすヒルシュスプルング病モデルラットを用いて、筋層間マクロファージの数と平滑筋の収縮性の変化について検討し、この両者に密接な関係があることを明らかにした。この結果は、現在投稿中である。 以上より、筋層間常在型マクロファージの細胞生物学的特性の一端を明らかにするとともに、病態生理における筋層間マクロファージの役割の一部を解明した。消化管の生理・病態生理はまだ完全に解明されておらず、今後も引き続き研究を続けていく。
|
Research Products
(1 results)