1999 Fiscal Year Annual Research Report
性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌を調節するグルコースセンサーの局在
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11760203
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 知己 東京農工大学, 農学部, 助手 (20272643)
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Keywords | 栄養 / グルコース / 体脂肪 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / 黄体形成ホルモン / ヒツジ / シバヤギ / 脳 |
Research Abstract |
1、栄養による性腺活動の調節機構を明らかにする一環として、後脳のグルコースセンサーが性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌調節に関与しているか検討した。ヒツジの第4脳室(後脳の中心にある脳室)に外科的にカテーテルを留置し、一定の回復期間の後、頻回採血を行った。採血開始後4時間からカテーテルを介して細胞内でのグルコースの利用性を阻害する薬物(2-deoxy-glucose;2DG)または生理食塩液をマイクロ注入ポンプを用いて投与し、血中黄体形成ホルモン(LH;GnRH分泌の指標)分泌パターンに及ぼす影響を検討した。その結果、第4脳室への生理食塩投与においてLHのパルス状分泌に影響はみられなかったが、2DG投与において投与開始後、LHのパルス状分泌頻度および平均LH濃度が強く抑制された。これらの結果から、後脳を中心とする第4脳室周囲に存在するグルコースセンサーがGnRH分泌調節に関与していることが示唆された。 2、栄養と性腺活動との関連について基礎的なデータを収集するため、異なる栄養条件下が飼育された卵巣摘出シバヤギに3日間の絶食を負荷し、体重および体脂肪量と絶食によるLHのパルス状分泌抑制との関連をヒトの肥満指数を応用して検討した。その結果、4週間の給餌制限を行なった処置群では給餌制限を行なわなかった対照群に比べてLHのパルス頻度が絶食により強く抑制された。また、体重あるいは肥満指数の低い個体ほど絶食によりLHのパルス頻度が強く抑制される傾向がみられ、体重よりむしろ肥満指数がLH抑制の割合との間に高い相関がみられた。以上のことから体脂肪の情報がなんらかの代謝性信号となって、絶食によるLHのパルス状分泌に関与していることが推察された。また、繁殖に影響を与える栄養状態の指標としてヒトの肥満指数の応用が有用である可能性が示唆された。
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[Publications] Tomomi Tanaka: "Central action of insulin regulates pulsatile luteinizing hormone secretion in the diabetic sheep model"Biology of Reproduction. (in press).
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[Publications] Satoshi Ohkura: "Hindbrain glucose-sensing mechanism mediates gulucoprivic inhibition of pulsatile luteinizing hormone secretion in sheep"Society for Neuroscience Abstract. 25. 417 (1999)