1999 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ染色体の特定領域における遺伝子探索に関する研究
Project/Area Number |
11760209
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
山下 秀次 九州東海大学, 農学部, 助手 (20289630)
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Keywords | ニワトリ / 染色体 / 顕微切断 / CpGアイランド / 制限酵素 / レアカッター / PCR / 遺伝子探索 |
Research Abstract |
高等動物の遺伝子の近傍にはCpGアイランドと呼ばれるCpG配列に富み領域が存在していることが知られている.このCpGアイランドには,ゲノム中の認識配列が非常に少ない制限酵素,すなわちレカッターの認識配列を特異的に有している.したがって,レアカッター切断部位をゲノム上の位置指標として遺伝子を検索することは非常に有効であると考えられる.そこで,染色体顕微切断法とレアカッターを用いたLigation mediated-PCR(LM-PCR)法を組み合わせることにより,特定の染色体領域のCpGアイランドをクローン化するという染色体特定領域における遺伝子探索法を着想するに至り,本年度はニワトリの第2番染色体短腕における遺伝子探索に適用した. 実験行程は,ニワトリ染色体標本の作製,倒立顕微鏡下でのマイクロマニピュレーター操作による第2番染色体短腕の回収,染色体断片からのゲノムDNAの抽出,レアカッターEag IによるDNAの完全消化,Eag I切断部位特異的アダプターの連結,Eag I切断片のLM-PCR増幅,PCR産物のクローニングおよびクローンの塩基配列解析の8行程より成る. まず,50本の第2番染色体短腕由来のEag I切断片を鋳型として得られたLM-PCR産物のうち,0.5kb以下のDNA断片をクローニングした.その後,適切な鎖長の挿入断片を有する39クローンについてM13リバース配列近位部より塩基配列を決定したところ,3クローンの両端に明確なアダプターおよびEag切断部位の配列が認められた.これらのクローンはC+G含量が67.1〜78.9%と非常に高く,CpG配列の観察値/期待値率も0.91〜1.19と高い値を示し,単離されたクローンはニワトリのCpGアイランドの一部であることが推察された.また,相同性検索の結果,GG2p03は哺乳類のグルタミン酸デカルボキシラーゼ65kDaアイソフォーム(GAD-65,EC4.1,1.15)をコードするmRNAの塩基配列およびそのアミノ酸配列と非常に高い類似性を示すとともに,アミノ酸配列と高い類似性を示した塩基配列の3'隣接部分にはスプライス供与部位のコンセンサス配列が認められ,GG2p03はニワトリGADをコードしている遺伝子の一部であるもの考えられた.
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