1999 Fiscal Year Annual Research Report
新型H5インフルエンザイウイルスの宿主域決定因子の解明
Project/Area Number |
11760217
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀本 泰介 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (00222282)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 赤血球凝集蛋白 / 宿主域 |
Research Abstract |
新型H5インフルエンザウイルスの人への感染性の分子基盤、つまり宿主域決定因子の解明のために、本研究ではウイルスの細胞への吸着性状について、新型ウイルスと人には感染しない従来型のH5トリインフルエンザウイルスとを比較することを目的とした。まず、新型ウイルスの赤血球凝集HA蛋白をコードするcDNAおよび従来型ウイルスHAをコードするcDNAをそれぞれ発現ベクターに組み込み、培養細胞表面上に発現させた。このHA発現細胞を用いてヒトあるいはニワトリの赤血球に対するHAの吸着性を検討した。その結果、新型ウイルスのHAはヒトおよびニワトリの赤血球の両方に吸着したが、従来型ウイルスのHAはニワトリの赤血球のみに対して吸着性を示した。ノイラミニダーゼを作用させた後の従来型ウイルスのHAは、両方の赤血球に吸着した。これらの結果より、ヒトの赤血球上のレセプターとニワトリの赤血球上のレセプターとは異なることが明らかとなった。また、新型ウイルスHAはヒトの赤血球レセプターとの結合性が強く、一方、従来型ウイルスHAは結合性が弱いことが推測された。次に、新型ウイルスHAと従来型ウイルスHAとの間でキメラHAを作製し、発現させ、赤血球吸着性を調べてみたところ、レセプター結合領域近傍に存在する糖鎖構造の違いがレセプター結合性に影響していることが明らかとなった。今後は、この糖鎖構造を含めたHA上のレセプター結合性に関与する領域の同定を行い、新型ウイルスのヒトレセプターヘの結合基盤を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)