1999 Fiscal Year Annual Research Report
Salmonella Enteritidisの生殖器親和性に関する研究
Project/Area Number |
11760218
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮本 忠 大阪府立大学, 農学部, 助手 (40264816)
|
Keywords | Salmonella Enteritidis / 産卵鶏 / 卵 / 卵管膣部接種鶏モデル / 卵管 / 総排泄膣 / 生殖器親和性 |
Research Abstract |
【目的】Salmonella Enteritidis(SE)による食中毒が世界的に急増し、大きな社会問題になっている。約2,000種類あるサルモネラ血清型のうち唯一SEに起因する食中毒だけが急増しているがこの理由についてはわかっていない。これまで、血清型の違いによる病原性を比較するために経口、静脈内、クロアカ内または経気道感染が行われてきたが、これら感染経路では汚染卵産出率が低く、汚染卵産出に関して比較検討することができなかった。われわれはこれまでの研究において、高率に汚染卵を産出する卵管膣部接種鶏モデルを作製した。そこで、今回、この卵管膣部接種鶏を用いることにより、各種血清型のサルモネラの汚染卵産出頻度、生殖器親和性および他の臓器への親和性の違いを比較検討した。 【材料と方法】36-47週齢のDeKalb-TX35(White-Leghorn系)の産卵鶏、60羽を用い、6群に分けた。各群、10^7CFUの各サルモネラ菌液を卵管膣部内に人工受精の要領で投与した。用いたサルモネラの血清型はSE、S.Typhimurium、S.Infantis、S.Montevideo、S.Hardar、S.Heidelbelgである。菌液投与後毎日卵を回収し、卵殻の外面、内面、および卵内容に分けてサルモネラの検出を行った。投与後2、4、7日にクロアカと卵管膣部のスワブ材料を採取し、サルモネラの検出を行った。投与後7日に剖検し、卵巣、卵管、卵管内の卵、クロアカ、肝臓、脾臓から材料を採取してサルモネラの検出を行った。 【結果】汚染卵産出率はSE投与群が27.6%で、他の群は3.1%-9.4%と、SE投与群の汚染卵産出率は他の群と比べて有意に高かった。汚染卵を産出した鶏の割合も、SE投与群では70%で、他の群は20-30%と、SE投与群の汚染卵産出鶏の割合は有意に高かった。クロアカと卵管膣部でのサルモネラの検出率および菌数はSE投与群で他の群と比べ高く、とくに投与後4日では、差が顕著であった。他の臓器でのサルモネラの検出率はすべての群で低率で、群間での差は認められなかった。また、すべての群において卵管内の卵からはサルモネラは検出されなかった。 【考察】SE投与群では他の群と比ベ、多くの鶏が高率に汚染卵を産出することがわかった。この理由として、SE投与鶏のクロアカと卵管膣部におけるSE検出率が高かったことから、SEのクロアカと卵管膣部への高親和性が考えられる。したがって、このSEの高親和性がSE食中毒の急増の一因となっているものと推察された。
|
-
[Publications] Miyamoto, T., Horie, T., Fujiwara, T., Fukata, T., Sasai, K., Baba, E: "Lactobacillus Flora in the Cloaca and Vagina of Hens and its Inhibitory Activity against Salmonella enteritidis in Vitro"Poult. Sci.. (in press).