1999 Fiscal Year Annual Research Report
新生子牛における好中球機能の発現調節機構に関する研究
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11760219
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学部, 助手 (00305905)
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Keywords | 新生子牛 / 好中球機能 / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
1.新生子牛における好中球機能の検索 新生子牛の好中球機能について出生時から発育にともなう変化を検討した。出生時の好中球機能(貧食能、殺菌能および化学発光能)は補体受容体を介する刺激に対して高値を示すが、その反応は8週齢まで緩やかに低下することが明らかになった。これに対し抗体Fc受容体を介する刺激では、いずれの機能も出生時に最低値を示し、その後8週齢まで有意に上昇することを明らかにした。これらの成果はCanadian Journal of Veterinary Research(2000,64;69-75)に公表した。 2.細胞内情報伝達系の解析 1.と同様の個体より得た好中球を用い先の機能検索と並行して、細胞内情報伝達系の解析を行った。まずリン酸化酵素について検討した。マップキナーゼ活性およびチロシンキナーゼ活性は先に示した好中球機能と同様に、出生時補体受容体を介する刺激に対して高値を示すが、その反応は8週齢まで緩やかに低下することが明らかになった。これに対し抗体Fc受容体を介する刺激では、いずれの酵素活性も出生時に最低値を示し、その後8週齢まで有意に上昇することを明らかにした。細胞内カルシウム濃度はこれら酵素活性が高値を示す時に高濃度を示し、逆に活性が低い時に低濃度であることが明らかになった。これらの研究成果の一部は1.に示した学術誌において掲載されている。 これらの検討により新生子牛における好中球機能の特性、およびその本質が細胞内情報伝達系に起因するものであることが明らかになった。これらの成果は現在畜産領域において大きな問題の一つである新生子牛の損耗に対し、その対応を検討する上で有用な情報になるものと考えられる。
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