1999 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン細線維形成の分子解剖学的解析-培養細胞系を用いた走査電子顕微鏡,原子間力顕微鏡観察-
Project/Area Number |
11770005
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋都 浩哉 新潟大学, 医学部, 助手 (90261289)
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Keywords | コラーゲン細線維 / コラーゲン分子 / 培養 / 骨肉腫細胞 / 走査電子顕微鏡 / 反射電子像 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では,生体内結合組織の主たる構成成分であるコラーゲン細線維の形成メカニズムを解明することを目的として,培養骨肉腫細胞の産生するコラーゲン細線維を超高分解能電子顕微鏡と原子間力顕微鏡をもちいて解析している。培養骨肉腫細胞(NOS-1)をプラスチックシャーレに培養すると,細胞の周囲,あるいは細胞のはがれたところに60-70nm周期の凹凸構造をもったコラーゲン細線維が観察される。そこで本年度(平成11年度)は培養3日,1週,2週目のコラーゲン細線維の微細形態を解析することによりコラーゲン細線維の形成過程を明かにした。 培養1週ではコラーゲン細線維は直径約30nmと細く,その長さは単独の線維では1〜2μm程度でほとんどすべての線維に先細りした両端を確認することができた。束をつくるものは,10〜20μmと長く,束の中の細線維は数本の細線維が長軸方向に約15度の傾きをもち右螺旋巻きに癒合していた。培養2週では細線維の癒合がさらに進み,線維の直径も100〜300nmと太くなっていた。このさいも太い線維の中に内在する直径約30nmのコラーゲン細線維が見えていた。このようにコラーゲン細線維の形成の際は直径30nmの線維を単位として太さと長さを増していく。その際,線維の長軸方向に対し右螺旋巻きに癒合することが明らかになった。 さらにリンタングステン酸,ウラン等でコラーゲン細線維に電子染色をほどこし走査電顕の反射電子像を観察すると,透過電顕的に観察されるD線を中心とした横縞構造が走査電顕でも観察できることを見い出した。この横縞のパターンから細線維内のコラーゲン分子の配列方向(C端とN端の方向)を知ることができる。次年度(平成12年度)はこの方法を用いて,コラーゲン細線維の形成過程におけるコラーゲン分子の配列を特定していく予定である。
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