1999 Fiscal Year Annual Research Report
増殖型トリレトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入法による神経細胞死機構の解析
Project/Area Number |
11770006
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00254756)
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Keywords | ニワトリ胚 / 遺伝子導入 / レトロウイルス / RCASBP / 細胞死 / 神経 |
Research Abstract |
1)RSV由来の増殖型トリレトロウイルス(RCASBP)にGFP及びBcl-2を組み込んだウイルス(RCASBP-GFP,RCASBP-Bcl-2)を作製した。 2)ステージ5〜12のニワトリ胚にRCASBP-GFPを微小ガラス針によって注入した。ステージ5〜9の胚では神経板上にウイルス液が行き渡るように注入し、ステージ10〜12の胚では神経管の中心管にウイルス液を注入した。その結果、ステージ5〜7でウイルスを感染させた胚は生存率が悪かった。このためステージ7以前でウイルスを感染させるのは難しいことが明らかになった。 3)胚へのウイルス感染とGFPの導入を検討するために、ウイルスのgag蛋白に対する抗体(AMV-3C2)とGFPに対する抗体で免疫組織化学を行った。その結果、ステージ8〜9でウイルスを感染させた場合は、孵卵4〜5.5日(st.23〜26)で外胚葉由来の組織(予定表皮、神経管、神経堤細胞およびそれ由来の組織)にウイルスがよく感染して且つGFPを発現することが明らかになった。またステージ10〜12で中心管内へウイルスを注入した場合、ウイルスの感染及びGFPの発現は神経管内に限局して時にヘテロな染色像(ウイルスが感染した細胞群と非感染群が混在する)を示した。 以上の結果からトリレトロウイルスはニワトリ胚で効率よく神経組織に遺伝子を導入することが明らかになった。また少なくともニワトリ胚の頚髄でステージ24に起こる運動ニューロン死には、この遺伝子導入システムは有効な研究手段となることが期待される。平成12年度は、より詳細にトリレトロウイルスによる遺伝子導入の系を検討して、RCASBP-Bcl-2を用いて神経細胞死の解析を進める予定である。
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